2018.11.30
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贈与

借金がなくなったら贈与税がやってきた!「みなし贈与」の注意点

(写真=pathdoc/Shutterstock.com)
(写真=pathdoc/Shutterstock.com)
「親が借金の肩代わりをしてくれた」「夫婦でともに支払ってきた住宅ローンを一方だけが負担するようになった」などを経験した人は少なくありません。ただ、これらの行為についても贈与税を納めなくてはならないことをご存じでしょうか。形のある財産を贈る以外にも贈与税が課されることがあるのです。

明らかな贈与でなくても課税される「みなし贈与」とは

贈与は、民法第549条により「もらう側とあげる側の双方の合意があって初めて成立する契約」と定義されています。言い換えると、どちらかが一方的に贈与したり、受贈したりしたとしても双方の合意がなければ贈与は成立しないことになります。ただ、これは民法上の話に過ぎません。相続税法ではもう少し幅広く「贈与」と考えているのです。

つまり、相続税法上では贈与行為においてどちらか一方の認識がなかったとしても、場合によっては贈与があったものとみなして贈与税の課税対象とします。これを「みなし贈与」と呼ぶのです。例えば、次のような行為はみなし贈与に該当します。

・著しく低い価額での資産の売買
・債務免除益
・他人が保険料を負担した生命保険金の受取

今回は、「債務免除益」について解説します。

みなし贈与になる「債務免除益」とは

債務免除とは、無償あるいは非常に低い対価で債務を免除してもらったり、誰かに肩代わりをしてもらったりした場合のことをいいます。そして、債務免除益とは本来自分が負担すべき債務がなくなった分だけ享受したとみなされる経済的利益を意味します。贈与税はプラスを受け取る場合だけでなく、マイナスがゼロになる場合や少なくなる場合についても課税されるのです。債務免除益とみなされ贈与税が課税されるのは主に次のようなケースです。

●親による子どもの借金の肩代わり
親が子の借金を肩代わりするケースはよくあることでしょう。この場合、肩代わりした分だけ親が子に贈与したとみなされ、贈与税の課税対象となります。

●借金の棒引き
また、借金そのものを何らかの配慮で帳消しにしてもらった場合も、借金の貸し手から借り手への贈与とみなされ、贈与税の課税対象となります。

●親が子どもの相続税を肩代わりした場合
債務になるのは借金だけではありません。公租公課など、本来ならば本人が支払うべきものを他人が肩代わりした場合も債務免除益としてみなし贈与として課税対象になります。よくあるのが相続人である子が相続税を支払えない場合に、被相続人の配偶者がその子の代わりに相続税を支払ってしまうケースです。この場合、みなし贈与として贈与税の課税対象になります。

●夫婦の共同名義の住宅ローンを途中から片方が全額負担した場合
共働きの夫婦が住宅購入当初、共同でローンを負担していたのが、途中出産・育児・介護を理由に片方だけがローン全額を負担することもあるでしょう。この場合も、負担が軽減された分、贈与を受けたものとみなされて課税の対象となります。

こういう場合は課税されない

ただし、次のような場合はみなし贈与としての課税はありません。

●債務者本人の弁済が本当に困難な場合
債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難な場合で、次のいずれかに該当するときは、弁済が難しい金額については、みなし贈与として課税されることはありません。

・債務の全部または一部が免除されたとき
・債務者の扶養義務者(親や子、配偶者など)がその債務の全部または一部の引き受けや弁済を行ったとき

債務の免除や引き受け、第三者による弁済は、債務者本人が極度の貧困や病気などといった事情により、やむをえず道徳的な配慮により行われることが多いものです。そのため、利益を受けたとしても、これに課税するのは道義的にふさわしくないと認められる場合があるのです。

債務の弁済が困難であるかどうかについては、債務者の信用による借り換えや労務状況、今後の収入などにより「近い将来いくら弁済できるか」などもあわせて考えて判定されます。また、贈与税の対象から外れる金額については、債務と積極財産を合わせて検討したうえで、明らかに弁済が困難だと認められる部分に限ります。

●肩代わりなどではなく金銭の貸借である場合
債務の肩代わりがあくまでも一時的な立て替え払いであり、後日返済されることが当事者間で合意が取れている場合には贈与税の課税対象とはなりません。ただ、口約束では立証が難しいのが現実です。金銭消費貸借契約書を作成し、証拠として残しておくとよいでしょう。

一見贈与とはわかりにくいのがみなし贈与です。判断基準としては「対価なしでメリットを享受しているかどうか」になります。「もしかしてこれ、みなし贈与?」と感じたら、早めに専門家に相談するとよいでしょう。
 

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