2018.12.21
/
贈与

離婚時の財産分与で贈与税はかかるのか?

(写真=VGstockstudio/Shutterstock.com)
(写真=VGstockstudio/Shutterstock.com)
厚生労働省の「人口動態統計の年間推計」によれば、2017年の日本の人口1000人あたりの離婚件数を示す離婚率は1.7です。中には一人で数回離婚するケースもありますが、離婚の場合、気になるのが財産分与と税金です。離婚時の財産分与にはどのような税金がかかるのでしょうか。

離婚の場合の財産分与は課税されない

財産分与で、まず気になるのが「贈与税」です。しかし、基本的には離婚時の財産分与により相手方から財産をもらったとしても、贈与税は課税されません。なぜなら、財産分与によりもらった財産は、相手方から贈与を受けたわけではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活を無事に送れるようにするために財産分与請求権に基づいて受けた給付にすぎないからです。

ただし、すべての財産分与について課税されないわけではありません。その性質や内容から、「財産関係の清算」でもなく「離婚後の生活保障」でもなく「贈与」と認められる場合には、財産分与を受けた側に贈与税が課税されます。

こんな場合は課税される

では、どんな場合に課税されるのでしょうか。相続税法基本通達9-8では次の場合は贈与に該当し、贈与税の課税対象になるとしています。なお、納税義務を負うのは財産分与を受けた側です。

●多すぎる分に課税
離婚した夫婦の一方に分与された財産が多すぎると認められる場合には、その認められる部分について贈与税が課税されます。多すぎるかどうかの判断は、婚姻関係がある間に夫婦が協力して得た財産の額やその他のさまざまな事情を考慮したうえで行われます。

●離婚が課税回避のためと認められたとき
また、離婚が性格の不一致や暴力、浮気や借金といった理由ではなく、贈与税等を回避するためのものであると認められた場合には、分与された財産すべてに贈与税が課税されます。課税回避のための離婚というのは、「財産分与は贈与税の課税対象外」という性質を巧みに使い、税金を免れながら財産を形成しようというものです。

もし「いかなる場合でも財産分与は贈与税の課税対象外」とした場合、離婚と結婚を繰り返すことで課税を免れながら莫大な財産を築くことが可能になります。離婚時の分与された財産は非課税であることはもちろん、結婚時にそれぞれ保有していた財産については、そもそも財産分与の対象から外れるからです。見方を変えると、税法が不当な財産形成に悪用されることになります。

「いかなる場合でも財産分与については贈与税の課税対象外」という状況を許してしまうと課税の公平性を欠くことになります。したがって、課税回避のための離婚については贈与税が課されるのです。

土地や建物への課税はどうなる?

では、平等に分けにくい土地や建物について財産分与を行った場合はどうなるのでしょうか。この場合には、贈与税の課税対象ではなく、所得税の課税対象となることがあります。ただし、納税義務を負うのは、財産をもらった人ではありません。財産をあげた人が分与した部分について譲渡を行ったものとして所得税の納税義務を負うことがあるのです。

譲渡所得にかかる所得税は金銭を分与した場合には課税されません。土地や建物などを分与し、それらの価額が取得時よりも高いときに課税されます。所得税法上、土地や建物を分与するときには分与する人が土地や建物をいったんその時の時価で換金したものと考えます。そのため、財産の取得時よりも分与時の時価が高い場合、分与する側はその差額について譲渡所得税を支払い、分与を受けた側は一般的な財産分与として贈与税の課税対象から外れた形で取り扱われることになるのです。ただし、現実に分与されたのは土地や建物になります。
ちなみに分与された側が今後もらいうけた土地建物を売却した場合には、分与されたときの時価を取得価額として譲渡所得を計算し、所得税の納付義務を負うことになります。なお、このように財産分与が譲渡所得として所得税が課税されるのは土地建物だけではありません。高額な美術品や貴金属、高級車、有価証券、ゴルフ会員権など、一般的に生活に必要な動産に該当しない資産(金銭以外)については譲渡税の課税対象となります。

離婚は結婚以上にエネルギーの必要なイベントです。財産分与の手続きも手間がかかります。それぞれがよりよい再スタートを行えるように、税金も含めて慎重な検討を行うことが望ましいでしょう。
 

【オススメ記事】
必ずしも相続する必要はない。相続放棄とは?
相続税。遺産を相続できるのはどんな人?どんな割合?
相続税対策としての贈与を上手に活用しよう
相続対策にも有効!等価交換のメリットとは
遺言書があったらどうなる??その効力と扱い時の注意とは

PREV 民法改正で夫婦間の居住用不動産贈与の制度が変わる
NEXT 使い方に注意!相続時精算課税の注意点

関連記事