2019.1.22
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贈与

2,000万円までは非課税になる「贈与税の配偶者控除」とは

(写真=ESB Professional/Shutterstock.com)
(写真=ESB Professional/Shutterstock.com)
相続対策として生前贈与を検討する場合、検討材料の一つとしてよく挙がるのが「贈与税の配偶者控除」です。配偶者に一定の資産を贈与した場合、2,000万円までの非課税枠が加わることになります。ただ、使い方を注意しないと、かえって損をすることも。今回は、贈与税の配偶者控除の仕組みについて解説します。

贈与税の配偶者控除の制度

贈与税の配偶者控除とは、居住用不動産あるいは居住用の不動産を買うためのお金のいずれかを配偶者に生前贈与した場合、贈与税の暦年課税制度の非課税枠110万円に加えて2,000万円の非課税枠が加算される制度です。つまり、2,110万円の非課税枠を受けることができます。

●配偶者控除の適用要件とは
ただし、この制度を使うには次の要件を満たす必要があります。

1.夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
ここでいう「婚姻」とは法律婚に限られます。事実婚は対象外です。

2.配偶者から贈与された財産が居住用不動産あるいは居住用不動産を取得するための金銭であること
「居住用不動産を取得するため」といいながら小切手や手形、有価証券や仮想通貨を贈与した場合は対象外です。

3.贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた側が実際に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
居住用不動産であっても海外不動産は対象外です。また、別荘や投資用不動産も本制度の対象から外れます。要件を満たすための一時的な居住では適用を受けられません。

●適用を受けるための手続き
さらに、本制度の適用を受けるためには、以下の書類を添付し、翌年3月15日までに贈与税の申告書を提出する必要があります。

1.財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本または抄本
2.財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
3.居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証明するもの(居住用不動産が贈与財産の場合には、固定資産評価証明書などもあわせて必要になります)
 

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贈与税の配偶者控除のメリット

贈与税の配偶者控除にはいくつかメリットがあります。まず、「生前贈与加算」ルールが適用されないことです。通常、贈与をした側が亡くなった場合、その亡くなった日の前3年以内に亡くなった人から贈与された財産があるならば、その贈与された財産を相続財産に加算しなくてはなりません。ただし、贈与税の配偶者控除の制度を使って贈与された財産についてはこのルールの対象外となり、相続税を節税することができます。

さらに、相続税対策になるだけでなく、近い将来自宅の売却を考えている場合における節税策の下地作りとしてもおすすめです。この制度を使って自宅の半分の持分を配偶者に贈与し、後日自宅をまるごと売却した場合、「居住用財産の3,000万円特別控除」を2人分受けることができます。つまり、夫の3,000万円枠と妻の3,000万円枠、あわせて6,000万円を自宅の売却益から差し引くことができるのです。
 

贈与税の配偶者控除のデメリット

ただし、贈与税の配偶者控除にもデメリットがあります。まず、この制度は一生に一度しか使えません。住宅だけこの制度を活用し、土地はまた後ほど……と考えたとした場合、土地については通常の贈与税が課されることになります。ただ、このルールは「夫婦ごとに一生に一度」です。そのため、この制度を活用した後離婚し、再婚をした場合、再婚相手と20年以上婚姻関係が続けば、この制度をその夫婦間で使うことができます。

また、受贈者となった配偶者が贈与した側より早く亡くなってしまうとかえって相続税が増えてしまうというデメリットがあります。さらに、配偶者に不動産を贈与する場合、不動産取得税や登録免許税がかかります。不動産取得税は価格の1.5~3%、登録免許税は2%です。本制度はこれら税金までカバーしていません。これらの出費をしても本制度の活用に意味があるかを事前に検討することが必要です。

節税は誰もが気になるところですが、節税策は贈与税の配偶者控除だけではありません。他の財産や相続人の状況なども配慮する必要があります。最終的には税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。

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