2019.2.25
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贈与

110万円以下でも贈与税が課税されることがある?注意すべき点とは

(画像=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)
(画像=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)
相続税対策として活用されることの多い生前贈与。特に預貯金などについては、生前から時間をかけてコツコツと子や孫に贈与することで相続税を節約したい方は多いのではないでしょうか。ただ、場合によっては少額ずつ贈与しても税金が課されてしまうかもしれません。

暦年課税制度では非課税枠110万円

贈与税には2つの課税方式があります。一つは暦年課税制度といって毎年1月1日から12月31日まで贈与により受け取った金額が110万円以下ならば、贈与税がかからないという制度です。もう一つは相続時精算課税制度といい、直系尊属・卑属の間柄で一定の要件を満たした贈与ならば、総額で2,500万円まで非課税になるという制度です。

相続時精算課税制度は縛りがきついため、活用してきちっとメリットを享受するには慎重な検討が必要ですが、暦年課税制度については、複雑な手続きや知識が不要で基本的に申告・納税がその年で完結するため(※)、相続税対策として活用する方が非常に多くなっています。

※ただし、相続開始前3年以内の生前贈与については、相続財産に加味されることになります。

110万円以下でも連年贈与として課税されることも

単純だからこそ暦年課税制度は注意すべきなのかもしれません。「毎年の非課税枠110万円以内を使って1,000万円を10年に分けて贈与すれば非課税で資産移転ができる」と考える方も中にはいらっしゃいます。この場合、税務当局からは「連年贈与」と見なされ、1,000万円総額について贈与税が課される可能性があります。

連年贈与とは、「まとまった金額を一定期間に分割して贈与する」という契約をあらかじめ行い、それに従って贈与する行為です。たとえば、先述の「1,000万円を10年に分けて100万円ずつ贈与する」という取り決めがなされた場合、1年ごとに贈与があったとみるのではなく、取り決めを行った年に「10年にわたり毎年100万円ずつ受け取る権利(定期金に関する権利)」の贈与があったものとみなされます。これにより、受贈者は取り決めを行った年において、受贈した「1,000万円分お金を受け取る権利」について贈与税が課されることになります。

何回かに分けた贈与が常に税務当局から指摘されるわけではありませんが、定期的かつ金額がほぼ同じ、といった贈与契約は連年贈与とみなされ、指摘を受ける可能性があるのです。

どうしたら課税されない? 

このような指摘を受けた場合、「あらかじめ1,000万円を10年に分けて100万円ずつ贈与する」旨の契約が存在することを税務当局側が立証するのが筋です。したがって、その課税の根拠を提示するように税務当局に反論するのが一つの方法だと言えます。

ただ、できれば最初からこういった指摘を避けたいもの。ならば、贈与を行う年毎に贈与契約書を作成するのが有効です。贈与契約書には、贈与側・受贈側双方の贈与に関する合意を明確にするため、双方が自署押印したほうがよいでしょう。また、公証役場で確定日付を押してもらうと契約書としての客観性がより高まることになります。

なお、「贈与税の申告書が贈与契約書の代わりになる」と考える方もいらっしゃるようです。しかし、贈与という行為はあくまでも民法上の法律行為です。そして、贈与税の申告は、贈与額が非課税枠を超えて贈与が行われたからこそ結果的に発生したものに過ぎません。なおかつ、民法上の贈与の定義は「あげます」「もらいます」という贈与側・受贈者側の双方の合意があって初めて成り立つものとされています。したがって、申告書は贈与契約があったことの証明にはなりません。贈与契約の証左となるのはあくまでも贈与契約書です。

なお、万が一、贈与契約書を作成し忘れた場合、贈与の事実の証拠としての効力は落ちますが、過去の贈与に関する確認書を作成するのも一つの方法です。

年110万円以下、されど110万円以下。綿密に計画を練った贈与であっても、総額がまとまった金額であれば指摘を受ける可能性があります。厄介事を避けるためにも、贈与する金額だけではなく、非課税枠以内の暦年贈与について、証拠を残しておくことについても配慮するようにしましょう。

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