2019.3.4
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贈与

「贈与税の肩代わり」には贈与税がまたかかります

(画像=Tolikoff Photography/Shutterstock.com)
(画像=Tolikoff Photography/Shutterstock.com)
「わが子のためを思って生前贈与をしたけど、税金を負担させるのは心苦しい」。そう感じる親御さんは少なくありません。仕事や家事、育児で忙しく、日々の生活費だけでも大変な現役世代を思いやることはすばらしいことです。ただ、だからといって贈与を受けた側の税金まで面倒を見るとかえって迷惑になることがあります。

贈与税の納税義務者はあくまで受贈者

贈与により財産を取得した場合、贈与税を申告し納付する義務が発生するのは原則として、財産を取得した個人(受贈者)になります。生前贈与には2種類あり、暦年課税制度ならば1年間あたりの非課税枠110万円超、相続時精算課税制度ならば総額が非課税枠2,500万円を超える財産の贈与があった場合に贈与税を納める義務が発生します。なお、贈与税を申告し、納付する期間は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までとなっています。

つまり、贈与によりもらった財産の総額が上記の非課税枠を超えた場合、翌年3月15日までに贈与税の申告と納税を行わなくてはなりません。なお、複数人から贈与を受けた場合、贈与者ごとに非課税枠110万円を考えるのではなく、受贈者が受け取った贈与財産の合計額が110万円を超えるかどうかで贈与税の有無を判定します。

贈与者が代わりに支払うと贈与税が受贈者にかかる

贈与の対象となるのは必ずしも現預金とは限りません。有価証券や不動産、美術品や骨とう品など現金以外の高額の資産が対象であることもあります。これらの贈与が行われて贈与税の納税義務が発生し、なおかつ受贈者があまり現預金を持っていない場合、受贈者にとって贈与税は負担となります。贈与税は現金一括納付が原則だからです。

このようなケースにおいて、もし親や兄弟姉妹など「本人以外」が贈与税の肩代わりをしたら、どういう取り扱いになるのでしょうか。
この場合、税法上では、肩代わりした税額相当分の贈与が肩代わりした人から本来の納税義務者に対して行われたとみなします。結果、肩代わりした税額が他の贈与と併せて非課税枠を超えるのならば、さらに贈与税が発生することになります。つまり、受贈者のためによかれと思ってした肩代わりが、かえって受贈者の負担につながってしまうのです。

納税の肩代わりは債務免除益というみなし贈与

「えっ、税金を肩代わりしただけで、実際に贈与をしていないのに贈与税が発生するの?」という声が聞こえてきそうですね。相続税法では、民法上の贈与に該当しなくても個人間のやりとりによって一方が経済的なメリットを享受した場合には、その部分について贈与があったものとみなします。これを「みなし贈与」といいます。

みなし贈与に該当する行為は、他人が保険料を負担した生命保険の満期金や個人年金の受取(保険料を負担した他人が生存している場合)、個人から安く不動産などを譲ってもらった場合、借金の帳消しや肩代わりといった債務免除益、対価なしの資産の名義書換などが該当します。贈与税の納税義務は債務に該当するため、これを肩代わりすると債務免除益とみなし、贈与として取り扱われることになるのです。

納税資金も一緒に贈与するのも一つの方法

「でも、貯金のない(未成年の)子供に贈与税を負担させるのはかわいそう」と親としては感じることでしょう。この場合には、贈与税の納税資金も一緒に贈与するのも一つの方法です。例えば、1,500万円の美術品をわが子に生前贈与する場合、納税資金とそれに係る贈与税も併せて贈与します。仮に納税資金などの現金1,000万円も美術品と一緒にわが子に贈与した場合、これらにかかる贈与税は次のようになります。

(2,500万円-110万円)×0.5-250万円=945万円
※一般贈与財産用(一般税率)のケース

受贈者側に贈与税の負担を一切させない贈与金額をシミュレーションするのは大変ですし、贈与額も増えることになりますが、贈与者側が肩代わりするよりはマシかもしれません。

注意点

このとき注意したいのが贈与税の仕組みです。現在、暦年課税制度では、「一般税率」「特例税率」の2つの贈与税率が採用されており、親子間や兄弟姉妹間の贈与よりも他人同士の贈与の税率の方が高くなっています。また、相続時精算課税制度については一度選択すると、その選択した親子間では二度と暦年課税制度を使うことはできません。実際にシミュレーションや検討などを行う場合には、専門家に相談することをオススメいたします。

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