2019.10.11
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贈与

親の土地に子どもが家を建てた、これは贈与になるのか?

(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)
(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)
親の土地に子どもが家を建てるケースは珍しくありません。しかしこれは土地の権利の贈与になるのでしょうか。無償で借りる場合、地代を払って借りる場合、相場より安く譲り受ける場合の3つについて比較してみましょう。

土地の使用貸借とは何か

1つ目は、親の土地に子どもが地代を払わず無償で建てるケースです。土地を無償で使うことを「使用貸借」といいます。使用貸借とは、無償で他人のものを借りて、使用収益したのち返還する契約(民法593条)のことをいいます。個人間の使用貸借では借地権に価値はないため、贈与税は課税されません。しかし、親が亡くなったときには相続税が課税されます。

そのとき子どもに土地を貸していたからといって相続税評価額から借地権が差し引かれるわけではないので、借地権も含めた自用地(更地)の評価分で相続税が計算されます。

地代を払うと逆にリスクが多い

2つ目は親に相場と同等の地代を払うケースですが、別に権利金を払うことが慣行になっている地域においては、権利金の部分が贈与とみなされ、贈与税が課税される場合があります。したがって課税を回避するには、権利金相当額を上乗せして地代を払うことが必要です。こちらのケースでも親が亡くなったときは相続税が課税されますが、その評価額は支払った権利金の額によって変わってきます。

このように子どもが親に地代や権利金を払うと、逆に計算が複雑になるリスクがあります。

相場より安く譲り受けると贈与税の対象に

3つ目は土地を相場より安く譲り受けるケースです。親が亡くなったときに心配な問題の一つは遺産相続争いでしょう。そのため遺産相続争いを避けるために「土地を生前贈与しておこう」と考える人もいるかもしれません。子どもが親から土地を無償で譲り受ける場合は、贈与税が課税されます。相場より安い価格で譲り受ける場合も相場との差額が贈与とみなされます。では、贈与税はどの程度の金額になるのか確認しておきましょう。

贈与税速算表(父母・祖父母から20歳以上の子どもや孫への贈与の場合)

※左から基礎控除後の課税価格、税率、控除額の順です。

200万円以下 10% 0円
400万円以下 15% 10万円 
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円 
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

【計算例1】親から評価額1,000万円の土地を無償で譲り受けた場合
(1,000万円-110万円(基礎控除))×30%-90万円(控除額)=177万円

【計算例2】親から評価額1,000万円の土地を500万円で譲り受けた場合
(500万円-110万円)×15%-10万円=48万5,000円

安く譲り受ける場合のほうが当然贈与税は少ないですが、自己資金を500万円出しているため、総支出額は548万5,000円となり、無償で譲り受ける場合よりも多くなります。 

「シンプル・イズ・ベスト」結局無償が一番簡単

親の土地に子どもが家を建てる場合の贈与、相続との関係を見てきましたが、へたに親に地代や権利金を払ったり、親の土地を安く買ったりすることはあまり得策ではありません。親も子どもからお金をもらうことははじめから想定していないでしょう。まさに「シンプル・イズ・ベスト」、親子なのでお金のことは気にせず無償で土地を使わせてもらうのが一番簡単な傾向です。

また固定資産税の支払いは、土地の分については親が、建物の分については子どもが払います。しかし固定資産税相当額を親に支払っている場合は「使用貸借」とみなされるため注意が必要です。無償で土地を使用しているのと同じ扱いになります。子どもがマイホームを建てるのは、親にとってもうれしいことのため本来なら家賃を払ってあげたいくらいでしょう。

地代がいらない代わりに家賃もいらない、親子ならではの譲り合いの精神で二世帯同居が実現すれば、最高の土地活用といえるのではないでしょうか。

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