2020.2.14
/
贈与

「特定贈与信託」とは?メリット・デメリットを解説

(画像=nampix/Shutterstock.com)
(画像=nampix/Shutterstock.com)
贈与の委託を受けた信託銀行等が、障がいを持つ方に一生涯にわたり生活費や医療費を渡す「特定贈与信託」。障がい者サポートに有効で、非課税枠も多いこの制度の概要を見てみましょう。

特定贈与信託とは?

特定贈与信託とは、「障がいを持つ方の家族などが信託銀行等に金銭等を信託し、信託銀行等が障害を持つ方に対して一生涯にわたり生活費や医療費などを定期的に渡す信託」(一般社団法人信託協会定義)です。障がいを持つ方の親にとって、「子どもが将来にわたって安定した生活を送ることができるか」は大きな懸念材料といえます。

しかし、特定贈与信託を上手に利用すれば親が亡くなったあとでも、子どもが生活費に困ることはなくなるので安心です。また、委託者には家族だけでなく障がい者を支援したい篤志家もなることができます。そのため、万一受益者(特定障がい者)が亡くなった場合、残った財産を障がい者団体や社会福祉施設等に寄付することも可能です。特定贈与信託は、本人だけでなく他の障がい者のためにも活用できる優れた制度といえるでしょう。
 

>>相続の専門家に相談する

特定贈与信託の仕組み

特定贈与信託の仕組みは、まず委託者(家族等)が受託者(信託銀行等)に金銭等を信託します。この場合、委託者から受益者への贈与は「みなし贈与」として扱われます。その後、受益者(障がい者)が「障害者非課税信託申告書」を受託者に提出し、受託者が税務署に税務申告の手続きを行います。そして、受託者が受益者に対して、亡くなるまで定期的に金銭の交付を行っていくのが一連の流れです。

信託できる財産は、金銭のほか不動産や有価証券も対象になります。特定贈与信託は、定期的に金銭を交付する必要があるため、収益が生じ換金性の高い財産に限定されます。扱う財産の細かい内容については信託銀行によって異なる可能性があるため、事前によく相談したほうがよいでしょう。

特定贈与信託のメリット

特定贈与信託の贈与税非課税枠は障がいの程度によって異なり、特別障がい者が6,000万円、特別障がい者以外の特定障がい者が3,000万円と高額に設定されています。特別障がい者とは、障がい者のうち、国税庁が指定する以下のような重度障害を持つ方です。
  • 身体障害者手帳に身体上の障害の程度が1級または2級と記載されている方
  • 精神障害者保健福祉手帳に障害等級が1級と記載されている方
  • 重度の知的障害者と判定された方
  • いつも病床にいて、複雑な介護を受けなければならない方 など
一方、特定障がい者とは、特別障がい者および障がい者の内、精神に障害のある方を指します。非課税枠に大きな差があるため、受益者がどの等級であるかを確認しておくことが大事です。

特定贈与信託のデメリット

有意義な制度の特定贈与信託ですが、注意する点もあります。一つは、受益者が亡くなったあと、相続人等に残った財産が交付されることです。前述したように、残った財産を社会福祉団体等に寄付することもできるため、事前によく話し合っておいたほうがよいでしょう。

そしてもう一つは、受託者である信託銀行に手数料を支払わなくてはならないことです。みずほ信託銀行の例では3%+消費税の信託報酬が必要ですので、1,000万円の場合は信託設定時および追加設定時に30万円以上が差し引かれることになります。また、金銭信託の運用益には通常の税制度と同じく20.315%が源泉分離課税されるため、しっかりと押さえておきたいポイントです。以上のように特定贈与信託自体は非課税であったとしても、諸費用は掛かるため少しでも有利な信託銀行を選ぶ必要があります。

ある程度のコストは掛かりますが、障がいを持つ方の家族にとっては、財産をプロの運用に任せ、子どもへの生活費・医療費等に交付されるこの制度は障害者サポートにもっともふさわしい商品といってもよいでしょう。制度を生かし、障がいを持つ方の生活が少しでも向上することを願っています。
 

>>相続の専門家に相談する

【オススメ記事】
住宅取得等資金贈与と住宅ローン控除の併用における注意点
110万円以下でも贈与税が課税されることがある?注意すべき点とは
誕生日プレゼントも課税されるって本当?その基準とは
借金の肩代わりには贈与税が!みなし贈与の一種「債務免除益」とは
離婚して家をとられたのに税金までかかる?自宅の財産分与と税金

この記事をシェア

相続MEMOをフォロー

相続のプロに聞く

NEXT 要注意!「生前贈与」やりすぎによる2つのリスク
PREV 負担付贈与とは?贈与税の計算に注意!

関連記事