2018.8.20
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相続

相続時によく聞く遺留分とは? 改めて説明

(写真=alexskopje/Shutterstock.com)
(写真=alexskopje/Shutterstock.com)
相続が発生したとき、被相続人に遺言があった場合、その内容は尊重されるべきものです。しかし、仮に「全財産を第三者に譲る」などの極端な内容だった場合、遺族の方の生活が立ち行かなくなる可能性もあります。そこで民法では一定の相続人が最低限は相続できる財産を定めた「遺留分」というものがあります。遺留分とは、遺言や贈与があった場合でも、一定の範囲における法定相続人に対してその権利が認められている“最低限の相続人の遺産取得権利”のことです。遺留分が用意されているおかげで、遺言による一方的な遺産相続に従うことなく、適切な権利を主張することができるのです。
 

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遺留分が認められる範囲

そもそも遺留分が用意されている理由としては、相続人の生活を保障することや、財産の形成に貢献してきた遺族に対してきちんと遺産を配分することなどが挙げられます。端的に言えば、被相続人の意志を尊重しつつ、相続人保護の観点から遺留分が設定されているということになるでしょう。このことは、遺留分の対象者を見てみれば明らかです。

では、遺留分の権利者および遺留分の割合はどのようになっているのでしょうか。まず、遺留分が認められている者については、民法で規定されています。具体的には、「兄弟姉妹以外の法定相続人」が遺留分の権利者となります。たとえば、配偶者や子ども、両親、さらにはそれらの法定相続人の代襲相続人もまた、遺留分権利者になると定められています。

また、遺留分の割合については、直系尊属(直通する系統の親族)のみが相続人である場合で被相続人の財産の「3分の1」、その他の場合には「2分の1」と定められています。たとえば、子のみが相続人となる場合には相続財産の2分の1となり、配偶者と子が相続人となる場合には、2分の1を分け合うため、4分の1ずつとなります。

「民法第1028条(遺留分の帰属及びその割合)」

遺留分と遺言はどちらが優先されるのか?

冒頭でも述べているように、遺言による財産の提供(遺贈)や生前贈与があった場合でも、遺留分を侵害することはできません(「推定相続人の廃除」を除く)。遺留分の権利者は、遺留分を侵害している部分について、自らの遺留分を主張することができるのです。ただし、遺留分を侵害していたとしても、自然にその権利が認められるわけではありません。

では、どうすれば遺留分の権利を主張することができるのでしょうか。そのためにあるのが「遺留分減殺請求権」です。遺留分減殺請求権とは、遺留分を侵害されている相続人(遺留分の権利者)が、遺留分を侵害している人(受遺者・受贈者)に対して、その侵害している額を請求できる権利のことです。これを行使してはじめて、遺留分を取り戻せます。

具体的な遺留分減殺請求権の行使方法としては、家庭裁判所への調停の申し立てに加えて、内容証明郵便等による意思表示が必要となります。このような「調停」あるいは「訴訟」などの段階を経て、最終的に遺留分を取り戻せるのです。ただし、遺留分減殺請求権の行使は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年、相続開始から10年という期間の制限があるため、注意しておきましょう。

「民法第1042条(減殺請求権の期間の制限)」

相続時のトラブルを回避するために

このように遺留分という制度は、遺族の方にとって非常に重要なものです。ただし、権利があるというだけでは救済されず、あくまでも遺留分減殺請求権を行使しなければならないため、あらかじめ状況を整理しておく必要があります。自らの権利を正しく主張し、またトラブルを未然に防ぐためにも、遺留分についての正しい認識を持っておくべきでしょう。
 

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