2018.9.28
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相続

遺産分割の際はご注意を!特別受益って何?

(写真=Photographee.eu/Shutterstock.com)
(写真=Photographee.eu/Shutterstock.com)
複数いる子のうちの一人に、「住宅購入のための頭金を贈与する」「海外留学のための費用を出してあげる」など、生活や教育のための資金を親が負担してあげることもあるでしょう。ただ、そのときは特に問題がなくても、親が亡くなり相続が発生した後に子供同士でトラブルになってしまうケースもあります。今回は、このように被相続人が特定の相続人に財産を渡していた場合、相続後にどのような問題が出てくるのか、「特別受益」の話を中心に解説します。

そもそも特別受益とは何か

「特別受益」とはどのようなものでしょうか。読んで字のごとく「特別に利益を受ける」ことですが、どのような場合に特別受益となり、相続にどのような影響があるのだろうか。まずは、特別受益の定義について確認をしていきましょう。

特定の相続人が被相続人から、他の相続人にはない利益を特別に得ていた場合、「特別受益」に該当する場合があります。該当すると、その利益の額は相続時に「持ち戻し」の対象となり、他の財産と合わせて遺産分割のための財産価額が計算されることになります。これは、利益を得ていない他の相続人との公平性を保つためのものです。民法には特別受益に関する条文もあり、特別受益に該当する財産や、財産の持ち戻しに関して定められています。

(特別受益者の相続分)
第九百三条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

民法では特別受益に該当する財産を「遺贈」「婚姻・養子縁組・生計の資本としての贈与」としています。遺贈とは遺言によって財産を処分(財産を与える)することです。今回、遺贈の詳細については触れませんが、遺贈は相続人へも相続人以外へも行うことができます。ただし、相続人に対しては遺贈ではなく「相続」させる旨の遺言が用いられることになります。

贈与には生前贈与と死因贈与がありますが、生前贈与のほうがイメージしやすいかもしれません。生前贈与は被相続人が相続人や相続人以外の人に、贈与契約を結んだうえで財産を生前に処分する行為です。場合によってはこの生前贈与が特別受益に該当するケースがあるので注意が必要です。

どのような財産が特別受益の対象となるのか

どのような財産が特別受益の対象となるのか、今回は生前贈与を例にお伝えします。「生活の資本としての贈与」には、例えば居住用不動産の贈与や不動産購入のための資金贈与、学生時代の留学費用等が挙げられます。「婚姻・養子縁組のための贈与」には、「結婚式・披露宴のための高額な費用を相続人の一人だけが出してもらった」「養子縁組の際に現金や住居を贈与してもらった」といったケースが考えられます。

ただし、扶養のために最低限必要となる援助については特別受益の対象となることは少なく、結婚費用などについても他の相続人と比較して金額の差が極端に大きくない限り、特別受益となることはないと考えられます。

遺産分割にはどのような影響があるのか

特別受益に該当した場合、その財産は贈与などが行われたときの価額ではなく相続発生時の価値に計算し直して、相続財産の総額を算出することになります。特別受益を得た相続人は、法定相続分からその分を差し引かれた金額が取得分となるため、相続時に受け取る財産がわずかになる可能性もあります。また、相続財産の総額が実際よりも多くなるため、相続税の負担が発生するケースも出てきます。

「家督相続」が当たり前だった時代と違い、現在は権利意識の高まりもあり「均分相続」の考えが定着しつつあります。特別受益を巡り相続後に親族同士が揉めるケースも考えられるため、複数の相続人がいる場合に生前贈与等を行う際は、相続人間で取得するバランスを考えたうえで、特段の事情がない限り不公平感が出ないようにすることが重要になってきます。
 

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