2018.10.1
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相続

中小法人の経営者が考えておきたい相続・事業承継対策

(写真=Monkey Business Images/Shutterstock.com)
(写真=Monkey Business Images/Shutterstock.com)
中小法人の経営者は、法人の代表と個人の家庭の大黒柱という2つの顔を持ち合わせていることがあります。その経営者に万が一のことがあった場合、その影響はいろいろな方面に出てくることが考えられますので、不測の事態に備えてさまざまな対策を立てておくことが必要です。今回は、「中小法人の経営者がどのような対策を考えおくべきか」について概要を紹介します。

後継者への事業承継

後継者がいない場合には、候補者の選任や売却などの検討も必要です。しかし、後継者がいる場合には「どのタイミングで経営をバトンタッチするのか」を、長期間かけて計画し実行していくことが大切になります。後継者の育成には時間がかかり、また取引先や金融機関・従業員などとの関係は現経営者のほうが深いケースが多いでしょう。一朝一夕ではできない人間関係・信頼関係を、時間をかけて構築することで、事業継承がよりスムーズに進むでしょう。

また、自社株式についても分散状況や評価額を確認し、できるだけ後継者、または法人に集中させるように対策を立てておく必要があります。経営に関与していない親族などが保有している場合、その親族に相続が発生した場合には、法人との関係がさらに薄い相続人が相続することになる可能性があります。そのときになって買取を要求されても買取資金が準備できているかは不透明であるため、そのような株式を後継者または法人が買取できるよう、生命保険などを活用して買取資金を準備することも検討すべきです。

自社株式については後継者に贈与(暦年贈与・相続時精算課税)して取得を進めるほか、現経営者が勇退するタイミングで贈与・譲渡するなど、経営や株価の状況によって取るべき方策が変わってきます。相続税・贈与税の納税猶予制度の活用も検討すべきでしょう。まずは、株価の試算など現状確認を行い、長期間かけて株式をはじめとする承継計画を作成していくことが重要です。

自身・家族の生活費準備

中小法人の経営者が一家の長でもある場合には、自身や家族の生活費も準備しておく必要があります。現役時に万が一のことがあった場合には死亡退職金、勇退時には生存退職金を法人で準備しておけば、その後の生活費の一部を確保できます。退職金を準備するためのさまざまな制度・商品があり、内容によっては法人の経費として計上可能なものもあります。利益の出ている法人には利益の繰り延べ効果もあわせて期待できます。

事業継続、雇用確保のための対策

経営者が現役時に死亡した場合、「その後の事業の継続や従業員の確保」といったことも考えておく必要があります。また、借入金の返済のための資金や運転資金・従業員の当面の給与などを確保しておくことは急務事項です。このような不測の事態を考え資金を試算し準備しておけば良いのですが、こちらについては常に現金で準備しておくことは困難なケースが多いでしょう。そのため、経営者の死亡時に必要な資金を、死亡保険金として法人が受け取れるような保険契約を締結することを検討しても良いでしょう。

経営者の相続対策は万全多岐にわたる

経営者個人の相続対策も検討しておくべきでしょう。保有資産が多い場合には納税資金の確保や税負担軽減対策は重要です。そのほか、分割できない自社株式や不動産などを保有している場合には、遺産分割・遺留分対策も必要になります。また、法人が借り入れをしている場合、経営者個人が連帯保証人になっているケースもあります。連帯保証債務は各相続人に法定相続分で「当然分割」されるので、経営・会社に関与していない相続人も連帯保証債務を負うことになります。このような場合には相続時に連帯保証債務を解消する対策をしておくことも必要です。

このように、経営者が考えておくべき相続対策は多岐にわたります。法人の経営状況や経営者の年齢などはもちろん、個人の財産や相続人の数なども考慮して対策を進める必要があります。そのために、まずは法人・個人ともに現状確認を行い、必要な対策は何かを優先順位をつけて実行していくことが重要です。
 

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