2018.10.15
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相続

貢献度合いで違いがでる!?相続における「寄与分」とは

(写真=Shutter_M/Shutterstock.com)
(写真=Shutter_M/Shutterstock.com)
法律がベースになっている以上、相続は法律上の規定に則って行われるのが原則です。その点、相続に関する法律を理解しておくことが、相続上のトラブルを未然に防ぐことにつながることは間違いありません。原則としての法律がどのように規定されているのかを把握しておけば、個々の事案に関わらず、相続に対して適宜・適切に対応できることでしょう。

ただ、法律というのは、必ずしも原理原則に則ったものとは限りません。とくに相続との結びつきが強い「民法」に関しては、条文の内容をつぶさに見てみるとわかるように、ある意味で“人間味のある”内容です。たとえば、相続税における「寄与分」は、法律における原理原則を超えて、被相続人に対する貢献度を考慮に入れた規定となっています。

「寄与分」とはどのような規定なのか?

では、寄与分とはどのようなものなのでしょうか。寄与分の規定が定められている「民法第904条の2」を見てみましょう。次の通りです。

1.共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

2.前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。

3.寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

4.第二項の請求は、第907条第2項の規定による請求があった場合又は第910条に規定する場合にすることができる。

条文の内容からもわかるように、寄与分の規定とは、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者に対し、相続分を割り増しさせる制度となります。言い換えれば、生前の被相続人に対し、何らかの形で貢献した者を優遇する規定ということです。このような規定は、まさに民法らしい内容と言えます。

寄与分と相続について

次に、実際の相続において、寄与分がどのような役割を果たすのかを見ていきましょう。とくに、「寄与分が認められるケース」「寄与分の計算方法」「寄与分と遺留分の関係性」について詳しく解説していきます。

・寄与分が認められるケース
条文にも書かれているように、「共同相続人による行為であること」「特別の寄与であること」「財産の維持・増加があること(因果関係)」などが、寄与分の要件となります。たとえば、事業の手伝いをしていたり、入院中の付き添いをしてくれたりなどが寄与行為の代表であり、いずれの場合も継続して、無償で、そして専従して行っていることが必要です。

・寄与分がある場合の計算方法とは
寄与分の計算は、状況に応じて異なります。たとえば、実際に負担した額が寄与分として認められる場合には、その金額が算定されますし、あるいは療養看護に努めた場合であれば、その分の日当や日数、裁量などから求められることとなります。いずれにしても、寄与した分をお金に換算して計算されます。

・寄与分と遺留分の関係性
ちなみに、寄与分と遺留分の優劣については、民法上、明確に規定されていません。ただし、遺留分減殺請求の対象は遺贈・贈与に限定されることから、寄与分に対する遺留分減殺請求はできないと考えられます。一方、東京高裁判平成3年7月30日によると、自己の寄与分を理由に遺留分減殺請求の減額はできないとしているため、状況によって判断は分かれていることとなります。

※裁判所
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55857

調停などで争うことになるケースも


このように寄与分には、あいまいな部分があるのも事実です。そのため、個別のケースをチェックし、状況に応じて対応するようにしましょう。調停などで争うことも想定して、判例なども確認しておけば無駄がありません。
 

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