2018.11.5
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相続

タンス預金で相続税回避……バレたらどうなる?

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
タンスのなかに限らず、金庫や押し入れなどに保管されている現金、それが「タンス預金」です。相続発生時に多額のタンス預金が見つかったとしても、税務署には隠しておけば相続税を支払わずに済むかも…そんなふうに考える人もいるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか?

タンス預金で相続税回避ってどういうこと?

タンス預金それ自体は、良いも悪いもありません。なぜなら、どこにお金を保管しておこうが、本人の自由だからです。ただし、その本人が亡くなって相続が発生したときには、タンス預金の扱いには十分に注意しなければなりません。相続税の計算では、被相続人の財産を合算して遺産総額を確定し、相続人ごとの相続税額を割り出します。

遺産総額が少なければ、支払う相続税が減ったり無税になったりするので、相続人としてはできるだけ遺産総額を少なく申告したいと考えるでしょう。そこで、タンス預金の存在に目を付ける人がいます。銀行預金や不動産と違って、「外部に情報が残っていないタンス預金なら、税務署は気づかない」「タンス預金は隠して申告して、相続税を節税しよう」と考える人もいるのです。

本当にタンス預金で相続税は逃れられるか?

実際にタンス預金を隠すことで相続税を回避することはできるのでしょうか。結論からいえば「不可能」です。税務署は、相続が開始した時点だけでなく、被相続人の口座の入出金履歴を過去何年にもさかのぼってくまなく調べます。日本国内にある金融機関だけでなく、海外の金融機関の口座も調べることもあるでしょう。本人だけでなく、子ども名義、孫名義の口座も調べられます。

過去のお金の出入りを徹底的に調べることで、「こんなに収入があるのに、預金がこれだけしかないのはおかしい」などと、不審な点を発見します。そして、遺族に質問したり、自宅に出向いて捜査したりすることでタンス預金が発見されてしまうのです。税務署の強い調査権限の前では、タンス預金を隠し通すことは無理と考えておいた方がよいでしょう。

税務署にタンス預金がバレたら?

実際にタンス預金がバレてしまったらどうなるのでしょうか。もし相続税の申告をした後に、タンス預金の存在が発覚し、修正申告をするように税務署から指導された場合、相続税の法定納期限から実際に納付する日までの日数に応じて「延滞税」が課せられます。延滞税の税率は、追加で納税すべき税額に対して、納期限より2ヵ月後までの期間については年7.3%、それ以降については年14.6%です。

※ただし、現在は特例が設けられており、たとえば2018年1月1日から2018年12月31日までの期間は、納期限より2ヵ月後までは年2.6%、それ以降は年8.9%

また、タンス預金を申告しなかったことが故意でなかったとしても、税務署から指導を受けて修正申告をした場合には、「過少申告加算税」も課されます。税率は、追加で納税すべき税額に対して10%です。さらに、タンス預金を隠して相続税を申告したことが「隠ぺい」に当たると判断された場合には、「重加算税」が上乗せされます。税率は、追加で納税すべき税額に対して35%です。つまり、本来払うべきだった相続税のほかに、延滞税+過少申告加算税+重加算税を支払う羽目になるわけです。

ペナルティー以外にもリスクがある

タンス預金には、相続トラブルの火種になりやすいというデメリットもあります。たとえば、親が亡くなったときに、子どもの1人がタンス預金を発見し、「ほかの兄弟に知られないうちに」と持ち出してしまうことがあるかもしれません。ほかの相続人がそれを知らないままに相続税の申告をして、もし後から税務署の指摘でタンス預金の存在が発覚したら大問題です。兄弟同士で大きなトラブルに発展することは間違いないでしょう。

また、多額の財産があっても被相続人が生きているうちなら、ある程度の相続税対策をとることはできます。しかし、相続が発生した後にタンス預金などの隠し財産が見つかると、有効な相続税対策を実施することができません。本人しか知らないタンス預金は相続人にとってありがた迷惑な存在といえます。相続発生後のことを考えたら、タンス預金はやめて、財産の情報を相続人間できちんと共有しておくべきなのです。
 

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