2018.12.5
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相続

円滑に遺産分割を行うための「代償分割」とは何か

(写真=Ruslan Guzov/Shutterstock.com)
(写真=Ruslan Guzov/Shutterstock.com)
次世代に財産を遺す側・先代が遺した財産を引き継ぐ側ともに、相続の際はできるだけ争いや揉め事がないようにしたいと考えている人は多いでしょう。そのためにはできるだけ円満にかつ円滑に遺産を分割する必要があります。今回は、遺産分割をするにはどのような方法があるか、また分割方法のひとつである「代償分割」とはどのような時に活用できるのか、メリットや注意点などをお伝えしていきます。

相続財産の3つの分割方法

遺産分割の方法は大きく3つあります。1つ目は「現物分割」です。こちらはシンプルな方法で、「不動産は長男、有価証券は次男、現金は三男」というように、現物をそのまま分割・相続する方法です。分割が比較的容易でわかりやすい反面、不動産等特定の財産の評価額が大きくなる場合には、相続人の間で受け取る財産の価額に偏りが出てしまうという問題も発生する可能性があります。

2つ目は「換価分割」です。相続財産を売却し現金化したうえで、各相続人に分割する方法です。相続人の間で受け取る財産に偏りが出ることがなく公平な遺産分割が行えるのが特徴です。しかし、例えば不動産を売却する際は仲介手数料や譲渡税などがかかる場合があり、その分、財産額が目減りしてしまう可能性があります。また、先代から引き継いだ財産が形として残らないこともデメリットといえます。

3つ目が今回のテーマである「代償分割」です。現物分割を行った結果、相続人の間で受け取る財産の価額が偏り、不公平になったり、特定の相続人の遺留分を侵害してしまったりするケースがあります。そのような場合に、財産を多く受け取った相続人がその相続人本人の財産から、受け取る財産の価額が少ない相続人へ金銭を渡し(代償交付)、不公平を軽減する方法となります。

代償分割のメリットと注意点

代償分割を活用すれば、売却できなかったり分割しづらかったりする財産が大半を占める場合にも、換価分割のように財産を手放すことなく遺産分割を行うことができます。また、特定の相続人に特定の財産を相続させたい場合にも、分割・共有等をせずに財産を遺すことが可能となります。一方で、財産を多く受け取った相続人が代償交付のための資金を持ち合わせていないと、代償分割は活用できないということになってしまいます。

資金を持ち合わせていない場合には、生命保険を活用して資金を準備することも可能です。「契約者・被保険者:被相続人 保険金受取人:財産を多く受け取る相続人」または「契約者・保険金受取人:財産を多く受け取る相続人 被保険者:被相続人」という生命保険契約を締結すれば、受け取った死亡保険金は「受取人固有の財産」となります。この、固有の財産として受け取った死亡保険金を、代償交付の金銭として他の相続人へ支払うことで、代償分割が可能となります。

どのような時に代償分割を活用するのか

代償分割はどのような時に活用すれば有効な分割方法になるのでしょうか。前述のように売却ができなかったり、分割しづらかったりする財産が大半を占める場合が想定されます。例えば、引き続き相続人の一人が住み続ける自宅があるが、他に財産があまりなく相続人が複数いる場合には、自宅を売却して現金を受け取ったとしても、相続人の一人が生活基盤を失ってしまう可能性があります。

また、被相続人の経営していた会社の自社株式がある場合、経営に関与している相続人がいるケースでは、その相続人に集中して相続させたほうがその後の経営にとっては得策になるでしょう。経営に関与していない相続人に自社株式が分散してしまうと、後々、円滑な経営に支障をきたす可能性もあるので、現物分割はしないほうが賢明です。

代償分割を行う場合は相続が発生してからではなく、事前に対策を立てておくことが重要です。代償交付のための資金準備や相続人間の財産額の調整など、被相続人となる人が生前にイニシアチブをとりながら進めることで、相続人間の揉め事を回避できる可能性も高くなるでしょう。また遺言書や遺留分放棄などとあわせて活用できれば、相続発生後も円滑な遺産分割が可能となるでしょう。

代償分割をはじめ、今回挙げた3つの遺産分割の方法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。相続財産の内容や相続人の数、相続人間の関係などを考慮したうえで、最適な分割方法を選択しましょう。それが円滑な遺産分割への近道となるはずです。
 

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