2019.3.15
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相続

税務調査でもっともつつかれる「名義預金」とは何か

(写真=Sureeporn Teerasatean/Shutterstock.com)
(写真=Sureeporn Teerasatean/Shutterstock.com)
相続税をいったん申告・納税しても不安になるのが税務調査です。相続税申告したうち、約20%が税務調査を受けているというのが平成26年分の相続税申告と税務調査の関係に関する分析で明らかになっています。相続税は課税対象となる資産額が他の税目よりも大きい傾向があり、1つの課税漏れも金額が大きくなりやすく、税務調査が入りやすいのです。

税務調査でもっとも多い申告漏れは「現金・預貯金」

数ある項目のうち、もっとも税務調査が入りやすいのが名義預金だといわれています。

平成28事務年度における相続税の調査状況に関する国税庁のサイトを見ると、調査により発覚した申告漏れなどの非違割合は82%となっています。非違割合とは、税務調査を行った件数のうち申告漏れを指摘された割合です。税務調査に入られた場合、8割以上が申告漏れを指摘されているということになります。

また、申告漏れ課税財産3,295億円のうち、現金・預貯金等の割合が1,070億円で最多となっています。つまり、申告漏れのうち、現金・預貯金等の申告漏れが3割前後を占めているわけです。これらの申告漏れは、最初から意図的に隠そうとされていたものではないかもしれません。被相続人・相続人側の間違った認識により生じた「名義預金」が申告漏れの原因となっているケースが多いのです。
 

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名義預金とは何か

名義預金とは、自分の名義の預貯金にお金を置いておくのではなく、親族など他人の名義の預貯金にお金を置いておくことを言います。よくあるのは親が子供のために行う名義預金です。「わが子に何かあったときのため」「最初から高額な財産があることを子供に知らせるのは教育上よくない」と考えて一人で子供名義の預金を積み立てる人が少なからずいます。

しかし、子供はその預金の存在を知らないため、国税庁の見解では「名義だけ子供で実質的な預金の持ち主は親」という状態になってしまうのです。また、贈与税の暦年課税制度では年間110万円以下なら贈与税は非課税という認識は一般化しています。そのため、「贈与税の課税対象にならないように」と1年間の積立額は110万円以下にして、長年積み立てていくというケースも珍しくありません。

「贈与税は110万円以内なら非課税」「子供のためになるし究極の節税対策だ」と親は思っていることが多い傾向ですが、この贈与契約は成立していません。贈与は、民法上の法律行為です。法律行為として成立させるためには、贈与側・受贈者側が「あげます」「もらいます」と贈与契約について合意していることが必要になります。

名義預金と指摘されるとどうなる?

一般的に名義預金の場合、相続人側の子供は親が自分の名義で行っていた預貯金の存在を知りません。当然のことながら贈与契約書も存在しないことがほとんどです。また、通帳や印鑑は贈与した親側で管理されています。こういった状態を税務署側に指摘されて焦るケースは珍しくありません。税務署側も名義預金の可能性は最初から検討しています。

子供名義の預貯金の存在を把握し、本人が「そんなものの存在を知らない」と発言し、さらに贈与契約書などが確認されなければ被相続人の財産だったとみなされ、相続税の課税対象となってしまうのです。申告漏れについては、税務署から通常「修正申告をするように」という指導がなされます。自主的に誤りに気付いて修正申告を行った場合、ペナルティは課されません。(延滞税は課されます)

ただし、税務調査が通知されて以降の修正申告については、次のペナルティが課されてしまいます。

過少申告加算税

税務調査の通知以後~更正の予知前まで:5%(※1)
税務調査による更正の予知以後:10%(※2)

※1新たに納付する税額が当初申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えている場合には、その超えた部分については10%
※2 新たに納付する税額が当初申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えている場合には、その超えた部分については15%

重加算税

過少申告加算税に変えて課される場合は、45%です。ただ、重加算税は「仮想または隠ぺいがあったと認められる場合」という前提がつきます。故意ではないケースで重加算税を課される可能性は低いでしょう。

名義預金とされないために必要なこと

名義預金と判断されないために必要な条件として、以下のものがあります。
●預金の存在を子供や孫など、名義の持ち主に通知すること
●通帳や印鑑の保管は名義人に任せること(受贈者がいつでも贈与されたお金を使える状態になっている)
●贈与契約書を贈与の都度作成すること
第三者から見て、「あげます」「もらいます」の贈与契約の合意が当事者の間で形成された証拠があることが重要になります。

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