2019.3.28
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相続

不動産に関する遺言書はまちがえやすい!争族事例と対策

(写真=William Potter/Shutterstock.com)
(写真=William Potter/Shutterstock.com)
近年、各種メディアで書き方などを紹介されることが多い遺言書。2019年施行の民法改正の対象になったことでも知られています。自分で手書きする自筆証書遺言は基本的には筆記具と紙さえあれば自分だけで作成可能であり、費用もかからないので手軽ではありますが、法律に詳しくない普通の人が書くと間違えが起きやすく無効となる可能性もあります。そして特に気をつけなければならないのが不動産に関する部分の記述です。

遺言書で不動産の住所をまちがえたらどうなる?

遺言書は意思を伝えるもの。何を伝えたいかを明確に記載する必要があります。特に不動産で間違えやすいのが物件を特定する情報、つまり住所です。

「青いネクタイを長男〇〇に相続させる」と遺言書に書いてあったらどうなるでしょうか。青色のネクタイを一本しか持っておらず、誰の目にもそのことが明らかであったら、長男は問題なく青いネクタイを相続できるでしょう。

しかし青系色のネクタイが何本もあったら。長男以外の相続人が「紺色は私のだ」「水色は俺のだ」と訴え出るかもしれません。

不動産は同じものはふたつとないので、特定することは簡単なはずです。しかし土地の場所の表記には、登記に使われる「地番」と住民票がある「住居表示」の2種類があるため、混同しやすくなっています。

住居表示は住所をわかりやすくするためにつけられているため、重複もあり得ます。必ずしも特定できるとはいえないのです。しかし登記地番の場合はただ一つに限定できます。遺言書を書く際には、登記されている地番を一言一句間違えずに書いてください。

不動産の住所を間違えたらどうなるか、裁判で争われた記録があります。平成13年3月13日最高裁判例では、遺言書において建物の記載を登記の表示内容ではなく住居表示にしたところ、その有効性が争われました。結論としては間違えたら必ず無効ということではなく、状況から客観的に判断し、遺言を残した人の意思が特定できるのであれば有効となる、と裁判所は判断しています。

有効となる可能性はありますが、余計な「争族」を招かないためには、住所の記載は登記地番通りに、そして家屋については家屋番号まできちんと書くことが重要です。

意思表示があいまいだと無効になることも

相続財産の特定だけでなく、その財産をどうしたいかという意思表示が曖昧な場合でも無効となったり、争いが起こってしまう可能性はあります。

「財産を~~にまかせる」と書いてあった遺言で、相続・遺贈が認められなかった裁判例はいくつかあります。「まかせる」という文言だけでは、物件の所有権を与えると言う強固な意志までは確認できないという理由です。たしかに遺産の分割を「取り仕切れ」という意味かもしれませんし、正式に分割するまでは「自由に使っていい」という意味かもしれません。
 

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確実に遺志を継がせるためにはどうするか

財産の特定も意思表示も、法律用語と遺言書の書式に精通していなければ間違えてしまう可能性は十分にあります。自分で手書きする自筆証書遺言の難しいところです。

確実に意思を伝えるためにはどうすればいいのでしょうか。ひとつの方法としては司法書士や行政書士、弁護士などのプロに相談して指示をもらいながら書くことです。ただし代筆は認められません。本人の手書きであることが自筆証書遺言の要件の一つだからです。

そして、より確実なのは公正証書遺言です。公証人役場に行き、公証人に遺言したい内容を話し、代わりに書いてもらいます。彼らは検事や弁護士などの法曹出身者であり法律のプロです。

公正証書遺言は公証人役場に保管されるため、紛失する心配がないのもメリットのひとつです。もし相続人に遺言書があることを伝えられなかったとしても、データベースに登録されるため、検索して見つけてもらえるかもしれません。

遺言のことは法律のプロに任せるのが一番

上記のとおり、不動産を相続させる遺言書を作るとき、特に注意しなければならないのは物件の特定と、明確な意思表示をすることです。これをしていなかったため、相続人たちが裁判で争い、その遺言書が無効となってしまった事例もあります。確実に意思を遺すためには司法書士や弁護士などのプロに相談するか、公証人役場で公正証書遺言を作ってもらうのがいいでしょう。
 

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