2019.6.6
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相続

民法改正による「長男の嫁への金銭」は2割加算の対象

(写真=Photographee.eu/Shutterstock.com)
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昨年夏の民法の改正により、相続が大きく変わりました。注目されている項目の一つが「法定相続人以外の親族が相続財産を受け取れる」というものです。メリットに目が行く一方で、気になるのが税金です。法定相続人以外の親族が受けとった相続財産の税金は、どのような扱いになるのでしょうか。

民法(相続関係)改正により相続人以外の親族も金銭請求が可能に

昨年の民法(相続関係)の改正により、相続人以外の親族も相続人に対して金銭を請求することができるようになりました。

亡くなった親の生前の介護を長男の嫁が行っていた場合、以前は、その嫁が仕事を辞めて親身になって世話をしていたとしても、財産を分けてもらうことができませんでした。つまり、何も世話を行っていない法定相続人が相続財産を受け取り、実の子のように親の面倒をみた法定相続人以外の親族は1円ももらえなかったわけです。

民法が改正され、法定相続人でなくても、被相続人の生前の介護や看護に無償で尽力し、その財産の維持や増加について特別の貢献(寄与)をした親族(特別寄与者)は、相続人に対して金銭(特別寄与料)を請求できるようになりました。これを「特別寄与料請求権」と言います。

なお、特別寄与料請求権を行使できる親族は、「6親等内の血族」「配偶者」「3親等内の姻族」です。ただし、相続を放棄した者や相続人の欠格事由に該当する者、廃除された者(相続権を失った者)は対象外です。
 

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相続人以外の親族が支払いを受けた金銭は相続税2割加算

特別寄与請求権により法定相続人から金銭を取得した場合、相続税が課税されます。ただし、扱いが少し異なります。

一親等の血族(代襲相続人となった孫を含む)や配偶者以外の者が取得した財産について課される相続税なので、本来の相続税額に2割加算されます。

2割加算とは

2割加算とは、被相続人の一親等の血族(被相続人の子や代襲相続した直系卑属、父母)及び配偶者以外の親族が相続や遺贈、相続時精算課税制度に係る贈与により財産を取得した場合、本来の相続税額に加えてその相続税額の2割を納めなくてはならない、という決まりです。具体的には、被相続人の兄弟姉妹、甥や姪、叔父(伯父)や叔母(伯母)などが該当します。なお、この「2割」は「各相続人の税額控除前の相続税額×0.2」です。

特別寄与料の支払いは「みなし遺贈」、支払ったら自己の課税価額から控除できる

通常、個人間の無償の資産の授受は贈与税の対象です。では、なぜ相続税が課されるのでしょうか。この特別寄与料は、被相続人から特別寄与者への遺贈とみなされるからです。

なお、特別寄与者に特別寄与料を支払った場合、相続人は自身の課税価額から支払った金額を差し引くことができます。

申告は特別寄与料が確定してから10ヵ月以内

特別寄与料を受け取った特別寄与者の相続税の申告・納付の期限は、特別寄与料の額が確定してから10ヵ月以内です。

特別寄与料を支払った相続人は、その支払いが相続税の申告期限後でも、支払額が確定した日から4ヵ月以内に更正の請求を行えば、払いすぎた相続税を還付してもらうことができます。

特別寄与料の税法上の取り扱いは今年7月1日以降

特別寄与料請求権が実際に行使できるようになるのは、今年の7月1日以降です。税法上の取り扱いもこの日以降となります。

特別寄与料請求権が実際に行使されたら、支払った側も受け取った側も申告手続きには注意が必要です。不安な場合は、専門家の手を借りながら手続きを行うといいでしょう。
 

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