2019.6.4
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相続

大相続時代の到来 相続税のこれまでとこれから

(写真=beeboys/Shutterstock.com)
(写真=beeboys/Shutterstock.com)

日本は大相続時代に

高齢化の進む日本はこれから「大相続時代」とも言える社会を迎えることになります。
相続件数は増え続けます。
それにともなって、相続税収を確保していくことは財政難の日本政府にしてみれば非常に重要な課題です。

平成28年の相続税収は、平成9年以来18年ぶりに2兆円を超えて、2兆1,100億円になりました。
これまでの相続税収の推移を見ますと、近年のピークはバブルの余韻がまだ残っていた平成5年で2.9兆円でした。
その後、税率が下がったこともあり、相続税収は基本的に下落傾向が続きました。

その下落傾向も、リーマンショック後の平成22年を底に反転しました。
平成23年以降、相続件数の増加とともに相続不動産評価の基準となっている路線価の上昇もあって相続税収は増加。
そして、平成27年に相続税の改正があり実質増税となったことで、平成28年の税収は2兆円を突破しました。

また、平成26年まで相続税課税される割合は4%程度でした。
つまり相続が起きても、その96%は基礎控除の範囲ない、つまり相続税がかからない相続だったわけです。
しかし27年の相続税増税後には課税割合は倍の8%にもなりました。

この課税割合は全国平均ですから、関東都心部など地価の高い地域での相続課税割合は20%を超えているとも言われています。

もはや相続税は政府としては貴重な財源となっています。
逆に私たち国民にとってはより相続が身近になってきているのです。

<相続税の課税件数割合、および相続税収の推移>
 
相続税の課税件数割合、および相続税収の推移
出典:財務省HP http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/property/e02.htm
 

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相続税の歴史

相続税の歴史を振り返ってみます。
1950年、GHQの指導の下、最高税率は90%に引き上げられました。
また長男が財産を相続する家督相続制度も改められました。
財閥や富裕層からの富の分散が目的だったと言われています。

その後、最高税率は段階的に引き下げられて、昭和63年の改正で最高税率は70%まで下がりました。
時はバブル真っ只中です。
土地の値上がりもあって相続税が払えないという方が都市部を中心に続出しました。
そういう背景もあって、平成4年、そして平成6年に税率を引き下げる方向で相続税の改正が行われ、平成15年の改正では最高税率は50%まで引き下げられました。

そのようにして、ずっと引き下げられてきた相続税が一転増税の方向に向かったのが平成27年の改正です。
基礎控除額が引き下げられ、最高税率が上げられたわけです。

大相続時代を目前にして、相続に対して課税を強化する方針に転じたということでしょう。

世界に目を転じますと、この日本の相続税を巡る方針転換が少々異質なものであることがわかります。

多くの先進各国の相続税への方針は、廃止または縮小の方向に向いています。
カナダとオーストラリアは1970年代に廃止。1992年にはニュージーランド、スウェーデンも2004年に相続税をなくしました。
アジアでもインド、マレーシア、シンガポール、中国などには相続税がありません。

どの国も富裕層を呼び込みたいという思惑があるからだと思われます。

ドイツ、フランス、イギリスには相続税はありますが、最高税率はそれぞれ30%、45%、40%と日本よりも低い設定になっています。
アメリカは一度廃止したのちに社会の高齢化を見据えてまた復活して現在の最高税率は40%です。
しかし、最低課税額が高く相続税がかかるのは6億円超の富裕層のみです。

世界的に廃止・軽減の方向に向かっている相続税ですが、日本だけはこれまでの引き下げの方向性が変わって増税になりました。
この方向性の違いはなんでしょうか。

これは日本特有の「事情」があるからだと思います。
そしてその「事情」のために日本だけはこれからも相続税がさらに増税に向かう可能性もあると思います。


<日本の相続税率の推移> (財務省HPより)
 
日本の相続税率の推移
出典:財務省HP  http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/property/e03.htm
 
 

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