2019.7.1
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相続

知っておきたい「空き家の相続対策」

(画像=JJ IMAGE/Shutterstock.com)
(画像=JJ IMAGE/Shutterstock.com)
「相続=お金持ちの贅沢な悩み」である時代はすでに過ぎ去りました。相続するのは必ずしも引き継ぐ側が喜ぶ財産ばかりとは限りません。少子高齢化や核家族化、地方の過疎化に伴い、最近は「空き家の相続問題」が相続人たちを悩ませるようになりました。だからこそ、知っておきたい空き家の相続対策があります。

空き家を相続すると相続税額が割高に

通常、居住用や事業用の土地を相続した場合、小規模宅地等の特例という制度によって、税金が低く抑えられるようになっています。居住用の土地ならば330㎡までは評価額が80%減額されます。

ただ、いずれもおおよそ次のような要件を満たしていることが前提です。
  • 被相続人が相続開始の日までその土地を居住用として用いていること
  • 相続人が相続開始の日から相続税の申告期限の日までにその土地を保有していること(※)
※居住用の土地については、配偶者には要件は特に設けられていません。被相続人と同居していた親族は保有だけでなく居住の要件をも満たさなくてはなりません。また、配偶者や被相続人の同居親族以外の親族については、居住していなくてもOKですが他の要件も満たす必要があります。

以上のような要件を満たさないのが「空き家」です。建物については、空き家であってもなくても固定資産税評価額で評価します。しかし、土地については、空き家であれば小規模宅地等の特例は使うことができません。つまり、路線価などによる評価額そのままで相続税が課されるため、相続税額が高くなるのです。また、固定資産税も空き家については居住用の不動産よりも割高になります。

空き家を相続したら「譲渡所得の3,000万円控除」を活用して売却を

ただ、空き家を相続しても、節税する方法はあります。次のような要件を満たせば、空き家の売却により課税対象となる譲渡所得から最大で3,000万円を差し引くことができます。
    
1.    売却する人が被相続人の居住用の建物や土地を相続や遺贈により取得したこと
2.    その売却が2016年4月1日から2019年12月31日までの間に行われること
3.    売却の内容が次のいずれかの形態であること
  • 被相続人の居住用の建物のみを売却した
  • 居住用の建物及び土地を同時に売却した
  • 居住用の建物を取り壊して更地にした後、その下にあった土地を売却した
4.相続開始の日から相続開始後3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
5.売却代金が1億円以下であること

このほか、細かい要件がありますが、おおよそ上記の要件をクリアすれば譲渡所得の3,000万円控除は活用できます。持ち家がある相続人が被相続人の居住用の不動産を相続した場合など、小規模宅地等の特例で減額ができなかったケースでも、物件を譲渡することで節税につなげることができるのです。

活用の際の注意点    

空き家の相続対策として有効な譲渡所得の3,000万円控除の制度ですが、注意点があります。主な注意点は次の3つです。

「被相続人の生前から空き家」には使えない

この制度の適用対象はあくまでも被相続人が生前、居住用として使っていた建物や土地に限られます。別荘など、保有しているだけで居住用とはなっていないものについては適用できません。

譲渡先は第三者でなければダメ

また、譲渡先にも条件があります。親子や夫婦、兄弟といった親族はもちろんのこと、内縁関係にある人や同族会社など特別な関係にある法人を譲渡先とした場合、この制度の適用は受けられません。

「1億円」の判定は総額で見る

1億円の判定の仕方にも注意が必要です。相続人が相続した分だけで判断するのではありません。この制度の適用可能期間である「相続開始の日から相続開始後3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に分割して売却した部分や、他の相続人が売却した部分も含めて検討することになります。

例えば、2018年3月1日に被相続人が亡くなり、相続人Aと相続人Bが居住用不動産を分割して相続したとします。Aは2019年4月1日に相続した居住用不動産の部分を5,000万円で売却し、相続人Bが2019年5月1日に相続した居住用不動産の部分を8,000万円で売却したとします。一見すると、AもBも3,000万円の控除をそれぞれ受けられそうに見えますが、両者の売却合計額は1億3,000万円となり、1億円を超えています。そのため、適用を受けることはできません。この場合、Bが売却した2019年5月1日から4か月以内に、AもBも修正申告を行い、納税しなくてはなりません。

このほか、注意しておきたい細かい要件があります。活用の際には一度専門家に相談した方がよいでしょう。

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