2019.10.10
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相続

【実例】共に前パートナーとの間にお子様がいる方同士の相続を幸せな解決に導いた考え方とは

(画像= Burdun Iliya/Shutterstock.com)
(画像= Burdun Iliya/Shutterstock.com)

1.今回ご紹介する相続事例の問題点とは?

賃貸業を営む不動産オーナーのAさん(70代・男性)。余命2年の宣告を受けたことをきっかけに、自分の資産をどのように残していくか悩んでいました。Aさんには妻がおり、自分が死んでから苦労をさせたくないという気持ちが強かったことから、妻に資産を渡したいという意向がありました。しかし、妻は賃貸経営に自信が持てず不安を抱えていました。

さらに、相続が複雑になりそうな要因がありました。それは、Aさん一家の家族構成。実は、Aさんの妻は後妻で、2人は再婚同士。それぞれに実子がいました。そのため、もしAさんが妻に資産を渡したとすると、亡くなった後は妻が前夫との間にもうけた実子に引き継がれることになります。それは、Aさんの実子もよく思わないはずです。

さて、Aさんはこの問題をどのように解決したのでしょうか?

問題のポイント:
  1.財産を渡す側と受け取る側で意見の相違がある
  2.再婚者の相続の場合の、実子への配慮

2.相談した先で待っていたのは、意外な提案

Aさんは「不動産相続の相談窓口」に相談しました。
今回ご対応いただいたのは、柏店の大澤健司さんです。
大澤さんは不動産会社の代表を務めながら「不動産相続の相談窓口」の店舗を構え、定期的に「相続勉強会」を開催し、不動産の関わる相続の相談に乗っていました。

相談を受けた大澤さんは、Aさんから事情をヒアリングし、お持ちの資産状況や相続関係を整理しました。また、不安を抱えているという相続人候補の奥様の相談にも乗り、状況を整理しました。

その後、状況を考慮し様々な選択肢が考えられましたが、大澤さんが提案したのは、「持っている不動産のひとつを売却して現金を分ける」というものでした。

初めにこの提案を聞いたAさんは、うんざりしたそうです。「不動産屋は結局、売らせたいだけか」と。確かに、売却というのは、不動産会社としても報酬の大きくなる選択肢で、実は今回、合理的に考えても保有していた不動産を売却するという案はあり得ないものでした。というのも、売却対象の物件は、一部上場企業が一括して賃借人となっており、賃料収入は年間約6,000万円にのぼるからです。そんな優良資産をみすみす手放すのは、理にかなっているとは言えません。また、売却して現金が増えると相続財産評価もあがることから、相続税額も増え、さらに売却益に対しての譲渡所得税もかかります。

しかし、大澤さんの話をよくよく聞いたAさんは、最終的に納得し、大澤さんの言う通りにしました。
では、なぜAさんは大澤さんの提案を受けいれたのでしょうか。

3.みんなが幸せになれる解決策とは

状況を整理するために大澤さんがAさんの奥様へヒアリングをしたとき、大澤さんが感じたのは、「不動産経営をしたことがない立場で急に引き継ぐことになるのは、ただでさえ不安。さらに後妻の立場で夫の不動産経営を引き継ぐことは、いっそう大きな不安があるのだろう」ということでした。

そして、Aさんは「妻に十分な収益を残したい」と言っていましたが、その真意は「自分のいなくなった後、世話になった今の妻に苦労をさせたくない」ということだったのです。

奥様は、したことのない賃貸経営に不安を抱えています。
また、もし社宅が空いて、収益が得られなくなったとしたら、賃貸経営に詳しくない妻にとって負担でしかありません。ちなみに、社宅が建つのはAさんが先祖代々受け継いできた土地。妻が売却しようものなら、「夫が亡くなって土地を後妻が売った」と囁かれることは想像に難くありません。

こうした事情を踏まえて、大澤さんはAさんに「本当に奥様の負担を考えるなら、売却を決断できるのは賃貸経営をはじめたAさんしかいないのではないでしょうか」と伝えたのです。初めに提案を受けたときは怒りを隠さなかったAさんですが、その話を聞いてから2週間ほど、しばらく考えて奥様とも相談し、「不動産を残そうとしているのは、自分の事業を家族に継承したかったからで、それは自分の満足でしかなかった」と、売却を決心しました。

結果として、Aさんは社宅に加えて、夫婦で住むには広すぎた自宅兼店舗ビルも売却することにし、全部で約 3 億5000万円の収入を手にしました。そこから、税金や新居の建築費などを引き、2億円の現金を残すことができました。現金のほとんどは妻、残っている貸地をAさんの実子である長男、新しく建てた自宅とその土地を長女がそれぞれ相続することにしました。

はじめに勉強会に参加してから結論に至るまでおよそ2か月。その後の売却もスムーズに進みました。Aさんの抱えていた悩みは晴れ、その後実際に訪れた相続でも、家族でもめることなく円滑に手続きが済みました。

問題解決までの流れ:
・相続勉強会に参加
・個別の相談(家族関係や資産概要、相続についての考えの共有)
・奥様を含めた相談(相続についての考えの共有)
・個別の相談(提案を受ける)
・検討
・相続の方針決定、契約(今回は不動産の売却、新居の建築について)

4.不動産相続に懸ける大澤さんの想いとは

大澤さんは、Aさんの相続相談のことをこう振り返ります。

「不動産売却の手続きが終わったとき、Aさんは私の両手を握って『大澤さんにお願いしてよかった。私はあなたに出会えて本当によかった』と言ってくださったんです。驚きと感動で涙が溢れてしまいました。何よりもほっとしたのは、家族みんなが笑顔になれたこと。売却という提案をするのにはためらいもありました。

しかし、様々な選択肢を考えて、Aさんの悩み、家族の気持ちに一番いい形で答えられるのはこれしかないと思ったので、なぜ売却するのかという理由を丁寧にお伝えすることに努めました。相続問題の解決を通して、皆さんが幸せになるお手伝いをできたことはうれしかったです。」

そんな大澤さんが、相続相談を受けるにあたって一番大切にしているのは、「何のために相続されようとしているのかを考えること」だそうです。

「相続はとりわけ分割で揉めることが多いんですね。そのため、財産の分け方に意識が集中してしまいがちですが、そうすると視野が狭くなって言い争いに発展してしまうことも。相続のことになると、家族にも言えない自分の考えがあることがほとんど。そのときに、他の家族はどう思っているかなど、客観的な視点をお伝えするように心掛けています」

温かいハートと、プロフェッショナルな仕事で多くのオーナーから信頼を得てきた大澤さん。問題の解決に向けて事前に調査・分析が必要なもの、税理士や司法書士など専門家への依頼が必要なもの等に関しては、都度料金を説明したうえで、契約を結んで対応し、悩みの解決に努めているということです。大澤さんは仕事の理想について次のように話します。

「私は、ご相談者様から『すべてお任せします』と仰っていただくことが、理想だと思っています。逆に、責任感とプレッシャーも感じます。でも、そう仰っていただけることが、究極のプロフェッショナルとして認められることだと思っています。ただ、そもそも資産を赤の他人にすべて見せるというのは、警戒感が先に立つものです。ご相談者様から『この人は信頼できる』と思っていただくためには、自分が成長しないといけないと、相談事業を通して気づかされました」

相続人と被相続人という、当事者だけでは解決が難しい相続問題。だからこそ、解決に導いてくれる伴走者の存在は心強いものです。
 

【今回相談に乗っていただいた担当者】

<大澤健司さんプロフィール>
茨城県で不動産売買・開発、賃貸管理に従事。「不動産オーナーとの信頼を強固なものにしたい」との想いから、社長に進言して不動産相続コンサルティングの部署を立ち上げる。2016 年に独立後、千葉県柏市に拠点を移し、相続コンサルティング、資産有効活用・賃貸経営に関するアドバイスなど、不動産オーナーに特化した総合不動産コンサルティングを行う。“地域の相談窓口”を目指すべく、相続勉強会、賃貸経営勉強会なども積極的に実施している。

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