2019.10.25
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相続

贈与税・相続税の納税が0円になる!?「法人版事業承継税制」とは

(画像=Jirsak/Shutterstock.com)
(画像=Jirsak/Shutterstock.com)
法人(会社)のオーナー社長にとって大きな心配事の一つが相続問題です。特に未上場の自社株式の相続について不安に感じている人は少なくありません。そこで活用したいのが「法人版事業承継税制」です。ここでは自社株式の贈与・相続にかかる税金が100%免除される「法人版事業承継税制」について解説します。

オーナー社長の株式相続問題

会社を長く経営し、それなりの業績を上げていると会社に利益が蓄積されます。その結果、会社の株式の価格がかなり高額になっている場合もあります。未上場の小規模な会社でも自社株式の価値が数億円になっているケースも多いです。そんなオーナー社長が亡くなったときに困るのは配偶者や子などの相続人です。

なぜなら現預金や不動産と同時に自社株式も相続財産として計算されてしまい、多額の相続税が発生する可能性があるからです。例えば課税遺産が5億円の未上場の株式だけで相続人が子ども1人だった場合、相続税額は1億9,000万円にもなります。中小企業の株式は簡単に売却して現金化できるものでもないため、相続人は納税資金の確保に苦労しかねません。最悪の場合は会社の解散も考えなくてはならなくなります。

法人版事業承継税制とは?

相続税の問題によって次世代へのバトンタッチがスムーズにいかなければ、有望な企業でも廃業を余儀なくされてしまいます。多くの有望な中小企業が廃業すれば、日本経済にとっても大きなダメージとなるでしょう。こうした問題を解決するために作られた法律が「経営承継円滑化法」、その枠組みの一つが「事業承継税制(個人版・法人版)」です。

法人版事業承継税制とはどんなものかをひと言でいうと、「一定の手続きをすることで、自社株式にかかる贈与税・相続税の納税が猶予または全額免除される制度」です。つまり株式についての相続税額が0円で済むということ。オーナー社長としては使わない手はありません。

納税が100%猶予される特例措置

この法人版事業承継税制には、「一般措置」と「特例措置」の2つの制度があります。特例措置は、制度の適用に期限が設けられているものの、一般措置よりも有利な内容になっています。

法人版事業承継税制「特例措置」の概要

事前の計画策定等 5年以内の特例承継計画の提出
(2018年4月1日から2023年3月31日まで)
適用期限 10年以内の贈与・相続等 (2108年1月1日から2027年12月31日まで)
対象株数 全株式
納税猶予割合 100%
承継パターン 複数の株主から最大3人の後継者
雇用確保要件 弾力化
事業の継続が困難な事由が生じた場合の免除 あり
相続時精算課税の適用 60歳以上の者から20歳以上の者への贈与

事業承継税制の適用を受けるには?

事業承継税制(特例措置)は贈与でも相続でも利用することができます。贈与で適用を受ける手続きの大まかな流れは、以下の通りです。

「贈与」での制度活用の流れ

  1. 「特例承継計画」を策定し、認定経営革新等支援機関(税理士、商工会、商工会議所等)に所見を記載してもらい、都道府県知事に提出する
  2. 贈与を実施(「特例承認計画」の提出・確認よりも前に贈与してもかまわない)
  3. 制度の適用を受ける要件を満たしていることについて、都道府県知事に申請し、認定を受ける
  4. 贈与税の申告期限までに、税務署に書類を提出し、納税が猶予される贈与税額と利子税の額に見合う担保を提供する
  5. 申告後に納税が猶予される
  6. 先代経営者(贈与者)が死亡したときには、「免除届出書」「免除申請書」を提出する
相続で適用を受ける場合も基本的には贈与の場合と同じ流れです。先代経営者が死亡(相続が発生)したことを知った翌日から10ヵ月以内に税務署への申告・担保提供や「特例承認計画」の提出・確認を行います。

早いうちから準備を

法人版事業承継税制は、株式にかかる贈与税・相続税が0円になるという非常に大きなメリットのある制度ですが、手続きがやや煩雑というデメリットもあります。顧問税理士があまり税制に精通していないケースもあるかもしれません。

特例措置を利用するには期限も限られています。事業承継にかかる相続税に不安があるオーナーは、税理士や認定経営革新等支援機関に相談するなどして早めに準備に取り掛かるとよいでしょう。

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