2019.11.8
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相続

相続税0円のはずなのに…申告書未提出で課税される2つのポイント

(写真=Atstock Productions/Shutterstock.com)
(写真=Atstock Productions/Shutterstock.com)
2015年の相続税法改正以来、ご自身で相続税を勉強し、相続対策を早めに検討する人が増えてきました。ただし、知識を身につけたばかりに、余計な税金を払う羽目になる人もいます。特に、試算で「相続税0円」となった場合は注意が必要です。

「相続税額0円」で安心していたら課税される理由

「自ら相続税について勉強し、入念に検討した結果『ウチは相続税額0円だ』と分かった。だから相続税の申告書を出さなかったのに、後日税務署から連絡が来て申告書の提出を求められた」という事態がしばしば発生します。なぜでしょうか。それは、相続税法の表面的な部分しか理解していなかったからです。

相続税法が改正され、課税対象となる世帯が増えたことにより、初心者向けの相続税関連の書籍やメディア情報が増えました。初心者向けの情報は分かりやすさを優先するため、細かい要件が省かれがちです。しかし、実際の相続税法は、メリットの大きい節税策ほど要件が非常に複雑です。細かいところまで正しく理解していないと逆に損をすることになりかねません。

節税策の中には、「申告書の提出」が適用要件となっているものがあり、提出しなければ節税できません。そうすると相続税額は0円にならず、それなりの納税額が発生してしまいます。

申告書を提出しないと適用されない2つの節税策

「申告書の提出」が適用要件である節税策は、以下の2つです。この2つは、様々な節税策の中でもポピュラーな部類に入ります。後述のように、いずれの制度も原則として申告期限までに申告書の提出を求められますが、遺産分割協議が長引いたりするなど止むを得ない事情がある場合には、期限が過ぎてから申告しても適用されます(ただし延滞税など余計な出費が発生します)。

配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減とは、被相続人の配偶者が相続の遺産分割や遺贈で実際に取得した正味財産の価額が、以下のいずれか多いほうの金額までは配偶者に相続税がかからない、という制度です。
  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分
「1億6,000万円までが非課税」となると、かなり大規模な節税ができます。

必須で活用したい制度ですが、原則として申告期限までに遺産分割されていることと申告期限までに申告書を提出している必要があります。また、申告書には税額軽減の明細を記載するだけでなく、戸籍謄本や配偶者の取得した財産の明細がわかる資料(遺言書のコピーや遺産分割協議書のコピー、印鑑証明など)を添付しなくてはなりません。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、被相続人が自宅用や事業用として使用していた土地を、被相続人の一定の親族が相続や遺贈で取得した場合、一定の面積まで、その宅地の評価額が最大80%まで減額されるという制度です。土地の評価額がもともと低い土地ならば、相続税額が0円になる可能性があります。

メリットは大きいのですが、居住や事業継続といった要件があるほか、この制度の適用を受ける旨の記載をした申告書を提出する必要があります。さらに、この制度の適用に関する計算の明細書や、遺産分割協議書のコピーなどの資料も添付しなくてはなりません。

「申告書不要かつ税額0円」のカギは「基礎控除額」だけ

申告書を提出しないと適用を受けられない節税策についてお伝えしましたが、いかなる場合でも申告書を提出しなければならないわけではありません。正味の遺産額が相続税の基礎控除額を超えない場合に限り、申告書の提出は不要です。

正味の遺産額と相続税の基礎控除額は、以下のように計算します。

正味の遺産額

(遺産総額+相続時精算課税制度の適用を受けた生前贈与財産)-(非課税財産+債務+葬式費用)+(相続開始前3年以内の暦年課税制度の適用を受けた生前贈与財産)

基礎控除額

3,000万円+600万円×法定相続人の数(※)

※被相続人に養子が複数いる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、次のようになります。
  • 被相続人に実子がいる場合…1人まで含める
  • 被相続人に実子がいない場合…2人まで含める
相続税対策で本当に必要なのは、中途半端な節税知識ではなく相続税法の正しい理解です。ただし、実際の相続税法はかなり難解です。事前に知識を得るのは素晴らしいことですが、その知識を活用する際は、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。
 

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