2020.1.29
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相続

相続人の欠格事由とはどのようなものか

(画像=ADragan/Shutterstock.com)
(画像=ADragan/Shutterstock.com)
相続が発生した場合、法定相続人は被相続人の財産を相続する権利を得ますが、場合によってはその権利をはく奪されることもあります。今回はどのような場合にそれが起きるのか、「相続欠格」とその「欠格事由」についてお伝えします。

「欠格事由」とは?

「相続欠格」とは、ある一定の事由に該当する場合に相続の権利をはく奪され、相続人から除外されることです。どのような事由が該当するかは民法に定められていて、以下の5つが「欠格事由」です。

(相続人の欠格事由)
第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

1つ目は、相続人が故意に被相続人を殺害又は殺害しようとして、殺人罪・殺人未遂罪で有罪判決が確定した場合です。また被相続人だけではなく、「先順位」「同順位」の相続人に対して同様のことを行った場合にも該当します。

2つ目は、被相続人が殺害された場合に、その犯人を知っているにもかかわらず告発・告訴をしなかった場合です。ただし是非の分別(善悪の判断)がない未成年者などの場合や、その犯人が自身の配偶者や直系の血族(父母・子・孫など)の場合は欠格事由には該当しません。

3つ目は、詐欺や強迫によって被相続人の遺言書を作成することや、その撤回・取消・変更を妨害する行為があった場合です。

4つ目は、詐欺や強迫によって被相続人に遺言書の作成・撤回・取消・変更をさせる行為があった場合です。

5つ目は、自身で被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合です。

このように、欠格事由は被相続人や他の相続人に対して殺害などの危害を加えた場合と、遺言書を自身の有利な内容・状態にする行為があった場合の、大きく2つのケースが該当することになります。

該当するとどうなるのか?

欠格事由に該当すると、民法で定められている通り「当然に」相続人となることができないため、財産を相続する権利や一定割合の財産を相続する権利である遺留分も失います。また、遺言による「遺贈」によって財産を受け取ることもできなくなります。

ただし、相続欠格は被害を被った被相続人と欠格事由に該当した相続人間のみで成立するものであり、他の被相続人に関する相続の権利を失うことにはなりません。

他の相続人などへの影響は

欠格事由に該当した相続人(相続欠格者)がいる場合、法定相続人が1人減るため、他の相続人の法定相続分は増えることになります。

例えば、相続人が妻と子3人で子の1人が相続欠格者だった場合、妻の法定相続分は1/2のまま変わりませんが、子1人当たりの法定相続分は1/6から1/4に増えます。相続人が妻と兄弟3人で兄弟の1人が相続欠格者というケースでは、妻の法定相続分は3/4のままですが、兄弟1人当たりの相続分は1/12から1/8に増えます。

ただし、相続欠格者に子などがいる場合は、代襲相続人として財産を受け取ることができます。相続欠格者の直系卑属に財産が渡ってしまうことになりますが、欠格事由は相続欠格者にのみに効力が及び、代襲相続の権利までには及ばないのです。

このように、被相続人や他の相続人に危害を加え有罪判決を受けた場合や、強迫などによって遺言書を自身に有利な内容とする行為をした場合は、当然のことながら相続人としての権利を失います。

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