2020.3.2
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相続

「相続」と「遺贈」と「死因贈与」……何がどう違う?

(画像=eamesBot/Shutterstock.com)
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個人が亡くなったときに財産を引き継ぐ方法といえば「相続」をイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし相続の他にも「遺贈」や「死因贈与」といった手続きで財産を引き継ぐ方法もあるのです。本記事では「遺贈」「死因贈与」がそれぞれにどういうものなのか、メリット・デメリットも含めて整理してみます。

相続とは?誰が受け取るもの?

「相続」とは個人が亡くなったときに、その人が所有していた財産上の権利義務を配偶者や子供などへ承継させる制度のことです。このとき亡くなった人を「被相続人」といい、被相続人から財産を受け継ぐ人を「相続人」といいます。相続が発生したときは被相続人の遺言書が残されている場合とそうでない場合があります。

遺言書がない場合、財産は民法で定められた相続人が受け取り、この相続人のことを「法定相続人」といいます。法定相続人として指定されているのは、配偶者や子供(子供が死亡しているときは孫など)、親や祖父母、兄弟姉妹までです。法定相続人が受け取る財産の分け方も民法で定められており、これを「法定相続分」といいます。

遺贈とは?

一方、「遺贈」とはどんなものでしょうか。遺贈とは、遺言書により財産の一部または全部を特定の人に無償で与えることです。遺贈をすることで、亡くなった人は、財産を法定相続人以外にも受け渡すことができます。遺贈をする人を「遺贈者」、遺贈者から財産をもらう人が「受遺者」と呼び、遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」があります。

例えば「全財産の3分の1をAさんに与える」というにように、財産のうち全部または一定の割合を示して遺贈することが「包括遺贈」です。「○○の土地・建物と現金1,000万円を与える」というように財産を指定して遺贈することを「特定遺贈」といいます。

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遺贈のメリット・デメリットは?

遺贈を行うメリットは、前述の通り財産を法定相続人以外にも分け与えられる点です。「内縁の妻」「お世話になった人」「特定の団体」などに財産を与えたい場合には、遺言書にその旨を記載して遺贈する必要があります。本人が財産の処分方法を明確に指示できる点が、遺贈の特徴です。遺言書の内容を自分が亡くなるまで秘密にすることができるのをメリットに感じる人もいるでしょう。

例えば遺言書の作成方法のなかでも最も厳格な「公正証書遺言」を作っておけば、その内容を証人・公証人以外では誰にも見られることなく保管しておけます。なお受遺者は遺贈された財産を受け取ることも放棄することも可能です。遺贈は、遺言書を作らなければならなかったり公正証書遺言であれば費用もかかったりすることはデメリットになります。

また自分の財産の内容をきちんと把握してから作ることが必要です。そのため財産状況の変化によっては遺言書の内容も随時アップデートするなど手間がかかります。

死因贈与とは?

自分が亡くなったとき誰かへ財産を渡す方法として「死因贈与」という方法もあります。これは贈与者が亡くなることによって効力を生じる贈与のことです。そもそも贈与というのは、一方が勝手に「あげます」といって財産を渡して成り立つものではありません。「あげます」という意志に対して相手の「もらいます」という意志があってはじめて贈与が成立するのです。

死因贈与も贈与の一種なので、「私が亡くなったらあげます」という提案に対して、相手が「もらいます」と約束をすることで、契約が成立します。なお死因贈与は「贈与」という名称がついていますが、相続税法上は「遺贈」として取り扱われ相続税の課税対象となります。

死因贈与のメリット・デメリットは?

遺贈ではなく死因贈与を使うメリットは何でしょうか。それは遺言書を作成しなくても財産を受け渡せるということです。ただし口約束では、相続が発生したときに遺族との間でトラブルになりかねないので、基本的には死因贈与の場合でも契約書を作成しておくべきでしょう。また相続や遺贈と違って「放棄」ができない点も死因贈与の特徴です。これにより財産を確実に受け渡すことができます。

死因贈与のデメリットは、撤回できない可能性があることです。遺贈であれば遺言書の内容を書き直すことで財産を渡す相手や金額を変えることができます。しかし死因贈与の契約が書面で交わされていた場合には、一方的に撤回することは難しいでしょう。

整理すると、財産を受け渡す方法には、自分の意思によらない「相続」、自分の意思を反映させる「遺贈」「死因贈与」があるということです。それぞれに一長一短があり、どの方法を選ぶかは、よく考えて判断する必要があります。


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