2020.3.25
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相続

「遺贈」とは?遺贈の種類と注意点を解説

(画像=Ruslan Grumble/Shutterstock.com)
(画像=Ruslan Grumble/Shutterstock.com)
遺言には「A銀行の預貯金を〇〇に遺贈する」「財産の2分の1を○○に遺贈する」など財産を「遺贈する」旨を記載することが可能です。今回は「そもそも遺贈とは何か」「遺贈にはどのような種類があるのか」「財産を遺贈する場合の注意点」などについて解説します。

遺贈とは

遺贈とは、遺言によって自身の財産の全部または一部を無償で処分(譲渡・贈与)することです。遺贈は遺言者が死亡したときに初めて効力を発生することになります。

民法
(包括遺贈及び特定遺贈)
第九百六十四条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる

出典:電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)

遺贈は相続人、または相続人以外の人のどちらでも行うことが可能です。ただし実際には、相続人に対して財産を遺す場合には「相続させる」旨の遺言を作成することになります。一方、相続人以外に財産を取得させたい場合には相続人ではないため「相続させる」ではなく「遺贈する」旨の遺言を作成することが必要です。 このように特段の事情がある場合を除き「遺贈する」旨の遺言は、相続人以外に対して財産を遺したい場合に作成することになります。
 

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遺贈にはいくつかの種類が

上記民法964条の通り遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」があります。ここではそれぞれの遺贈について概要や違いなどを確認しておきましょう。

・包括遺贈

包括遺贈は特定の財産を指定することなく「財産の3分の1を○○に遺贈する」など財産の割合を指定して処分する遺言を遺す方法です。包括遺贈を受けた者(受遺者)は預貯金・不動産等の財産の他、債務などのマイナスの財産もその割合分だけ「包括的に」相続することになります。そのため相続人と同様に「限定承認」「相続放棄」を行うことが可能です。

しかしこちらも相続放棄等同様に「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内」に家庭裁判所に申述を行う必要があります。また包括遺贈の受遺者がいる場合には、相続人はその受遺者との間で遺産分割協議を行うことが必要です。したがって受遺者が財産の名義変更などを行う場合には、相続人全員の書類などが必要となるため、遺産分割協議の進行度合いによっては財産の取得に時間がかかることが考えられます。

・特定遺贈

特定遺贈はその名の通り「Aの土地・建物を〇〇に遺贈する」など特定の財産を遺贈によって受遺者に取得させる方法です。こちらは財産が特定されているため、包括遺贈のように遺産分割協議の必要はありません。特定遺贈の放棄についての期限もありませんが、相続人やその他の利害関係人から遺贈の承認または放棄についての期限を求められた場合には、その期間に意思表示を行うことになり意思表示をしない場合には遺贈を承認したものとみなされます。

民法
(受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告)
第九百八十七条 遺贈義務者その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす

出典:電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)

遺贈をする場合の注意点

このように遺贈には遺言の方法によって種類が分かれることになります。主に相続人でない人に財産を渡したい場合に活用できますが、遺贈を行う場合にも注意点がありますので押さえておきましょう。まずは相続と同様に他の相続人の「遺留分」に配慮した遺贈を行う必要があります。他の相続人の遺留分額を侵害した場合には、その分の金銭を支払う可能性が出てくるため、留意が必要です。 また包括遺贈の場合、他の相続人との遺産分割協議が必要となるため、特定の財産を渡したいことが決まっている場合には特定遺贈で遺言を遺しておいたほうが受遺者にとっても有益になる可能性が高くなります。さらに遺言執行者を遺言で指定しておけば、相続発生後に遺言の内容がスムーズに執行される可能性が高くなるため、遺贈する旨の遺言を遺す場合には検討しておきましょう。

このように相続人以外に財産を渡す旨を指定できる遺贈ですが、通常の相続と同様に他の相続人に配慮した内容とすることが必要となります。
 

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