2020.9.11
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相続

コロナで10ヵ月以内申告が無理なら「個別の期限延長」を申請しよう

(画像=jeffy1139/stock.adobe.com)
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「コロナ禍なのに相続税の申告を10ヵ月以内にしなければいけないなんて……」。いま相続を抱えている人なら、誰でもそう思うでしょう。しかし、ご安心ください。手続きを行えば、10ヵ月以降に申告しても余計な税金はかかりません。今回は、コロナ禍で相続手続きが進まない人のための、相続税申告の救済策をお伝えします。

コロナで相続税の申告・納税が間に合わないかも

新型コロナウイルスの影響が及んでいるのは、企業経営や雇用だけではありません。コロナは、相続にも暗い影を落としています。相続では以下のような手続が必要になりますが、コロナの影響で進められない人がいます。
  • 死亡届の提出
  • 銀行の口座凍結、公共サービスへの連絡
  • 健康保険証や運転免許証の返却
  • 遺言書の有無の確認
  • 相続人の捜索・確定
  • 遺産の捜索
  • 相続放棄や限定承認の申請(3ヵ月以内)
  • 所得税の準確定申告(4ヵ月以内)
  • 遺産分割協議
  • 不動産・預貯金口座の名義変更手続き
  • 相続税の申告・納税
これらの手続きを行うには、電車やバスを乗り継いで行動する必要がありますが、感染リスクもあり外出しにくくなりました。また、相続で必須の遺産分割協議も三密になりやすいため、行いたくてもできません。

しかし、相続税の申告期限は相続開始を知った日から10ヵ月以内です。期限を過ぎると無申告加算税というペナルティを受けるので、心配している相続人は少なくないでしょう。
 

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「10ヵ月以内」に間に合わないなら「個別延長」の申請をしよう

しかし、焦らなくても大丈夫です。国税庁は4月、緊急事態宣言の発出に合わせ、「相続税の申告が10ヵ月以降になっても『個別の期限延長手続』をすれば期限内申告として扱う」旨をウェブサイト上で発表しました。詳細は以下のとおりです。

個別の期限延長手続で10ヵ月以降の申告も期限内申告に

個別の期限延長手続は、相続税などの税金の申告・納付の期限を申請することで先延ばしできる手続きで、コロナの感染リスクや災害などの非常事態のときに特別に認められます。この手続きをすれば、10ヵ月以降の申告であっても期限内申告として扱われます。

今回のコロナ禍においては、「体調不良で外出が困難」「自粛が要請された自治体に住んでいて外出が難しい」「そもそも感染が怖くて外出できない」といった状態であれば延長手続を行えます。この3つの要件に該当しなくても、コロナの影響によるものであれば手続きができます。

手続きができる人は「申告書を提出すべき人全員」

個別の期限延長手続ができるのは、相続や遺言で財産を取得し、相続税の申告書を提出しなくてはならない人です。なお「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」によって相続税額0円になる人も、相続税の申告書を提出しないと適用が受けられないため、延長手続の対象者となります。

手続きは一言書くだけ

手続きは、いたって簡単です。10ヵ月経過以降に提出する相続税の申告書の第1表の右上に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と一言書くだけです。期限延長手続きのための申請などを事前に行う必要はありません。

手続きの効果は「無利子・無担保」

この個別の延長手続を行うことで、10ヵ月を過ぎて提出しても、無申告加算税はかかりません。また、相続税の延納手続では利子税がかかったり、事情に応じて担保の提供が求められたりしますが、この手続きをすれば、無利子・無担保です。

個別の延長手続、実際における2つの注意点

誰でもできる手続きですが、注意点が2つあります。

注意点1:相続人の一部だけ延長したら他の相続人も申告書に記入が必要

相続税の申告書の提出は、全員同時ではなく相続人それぞれが行います。つまり10ヵ月以内に提出する人もいれば、10ヵ月以降に提出する人もいるわけです。複数いる相続人の誰かが個別の期限延長手続を行うなら、10ヵ月以内に申告する相続人は自分の申告書の第1表右上に以下の一言を書かなくてはなりません。税務署側の混乱を避けるためです。
▽追記文例
新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請(財産取得者:延長申請する相続人の氏名)

【参考】相続税の申告・納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ(PDF)

注意点2:納税の期限は「申告の期限」

この延長手続を行った時点で、申告日が納税の期限になります。つまり、相続税を延長の旨を書いた申告書を出す日までに納めなくてはならないのです。遅れると、その分延滞税がかかります。心配なときは納税を先に済ませ、後から期限の延長申請の旨を書いた申告書を提出しましょう。

なお、原則、この取り扱いは「申告・納付ができない理由がやんだ日から2か月以内の日を指定する」こととなっています。今年4月、5月初旬は先の見えなかったコロナ禍ですが、5月の下旬になってからは感染者数が減少に向かい、緊急事態宣言の解除がされるに至りました。「コロナ禍だから間に合わなくて」という理由は今後使えなくなります。相続手続きをできるだけ迅速に進め、どうしても難しいなら税務署に事前に相談しましょう。
 

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