2020.9.12
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相続

相続人のいない財産の相続は一体どうなるの?

(画像=freedomz/stock.adobe.com)
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2015年の税制改正に伴い、相続税の課税対象となる世帯の範囲が大きく広がりました。相続の問題が他人事ではいられなくなり、それにつれて相続対策の話題をさまざまなメディアで目にするようになりました。相続手続きや相続税対策の話はたくさんありますが、その多くは「相続人がいる」ということが前提です。それでは相続人がいない場合の相続は一体どうなるのでしょうか。

今後深刻化する「相続人不存在の相続」

現在の日本では少子高齢化が進むと同時に、結婚しない男女が珍しくなくなりました。国立社会保障・人口問題研究所が公表している「人口統計資料集2019」によると2015年の50歳時未婚割合は男性23.37%、女性14.06%です。つまり男性は約4人に1人、女性は約7人に1人が結婚をしたことがないということになります。
今後もこの状況が継続していくと「相続人がそもそもいない」という世帯が増加する可能性は高くなるでしょう。特に問題化しそうなのは以下のケースです。

おひとりさま世帯

結婚しないまま年齢を重ねていく現役世代が珍しくなくなりました。40代、50代になって結婚するケースもありますが、多くの場合は独身のまま、いわゆる「おひとりさま」となることが予想されます。
現役世代はバリバリ働いて稼いでいたことから相応の資産を保有していることもあるかもしれません。しかし財産がたくさんあっても親兄弟や甥姪がいない場合は、相続人がいないことになるため財産が宙に浮くことになります。

内縁の妻や養子縁組をしていない連れ子は相続人になれない

事実婚や再婚の世帯も2000年以前よりも多くなりました。この場合、「親族はいるけれど相続できない」という問題も発生します。なぜなら相続人になれるのは民法上の親族に限られるからです。民法725条では親族を「配偶者」「6親等内の血族」「3親等内の姻族」と定めています。つまり「亡くなった人と一定の血縁や民法上の親族関係がある人」でなければ相続人になれないのです。

そのため、長年連れ添っていても事実婚の配偶者や民法上の親族に該当しない親類縁者(配偶者の従兄弟など)は相続人になれません。また再婚相手の連れ子であっても養子縁組をしていなければ相続人になれないのです。

相続放棄で「相続人不存在」になる可能性も

相続人となるべき人全員が相続放棄をすれば相続財産は原則として誰にも引き継がれません。相続放棄とは、相続されるべき財産・債務のすべての承継を放棄することをいい、相続開始を知った日以後3ヵ月以内に家庭裁判所に申し立てをすることで手続きをします。例えば第1順位の相続人が相続放棄をした場合、次順位の相続人が相続することになるわけです。

しかし相続の可能性のある人全員が相続放棄を行うと相続財産が宙に浮きます。仮に相続人の孫や甥姪がいたとしても相続放棄の場合、代襲相続ができないので承継は不可能です。
 

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相続人不在世帯の相続の流れ

相続人が存在しない場合、相続財産は一体どうなってしまうのでしょうか。基本的に次の流れで手続きが行われることになります。

相続人の捜索

まず相続人の捜索が行われます。「相続人になるべき人はいるけど行方不明」といった場合は相続人不存在になりません。死亡が確実でない限り戸籍や住民票を使って調べます。結果、どうしても見つからない場合は不在者財産管理人(行方不明者に代わり相続手続きを行う人)を立てるなどして相続手続きを進めることも可能です。しかし相続人がいない可能性がきわめて高い場合には、次の手続きに移ります。

相続財産管理人の選任

相続人不存在が明らかとなった場合には、被相続人の債権者(取引先など)や特定受遺者(遺言により財産を受け取る人)、特別縁故者(内縁の妻など)が相続財産管理人の選定を家庭裁判所に申し立てることが必要です。管理人が選定されるとさらに相続人の存在の是非を徹底して確認すべく2ヵ月間公告が行われます。

この公告終了後、債権者・受遺者への呼びかけのための公告も行われる点は押さえておきましょう。なお相続財産管理人に対しては、相続財産から報酬が支払われます。不足した場合、申立人が負担することがあります。

債権者・受遺者への支払い

公告終了後、相続財産からの支払いが行われます。まず被相続人の債権者と受遺者です。ここで相続財産がなくなったら手続きは終了となります。

相続人不存在の確定

さらに6ヵ月間、相続人捜索のための公告が行われますが、ここで相続人が出てこなければ相続人の不存在が確定します。

特別縁故者への分与

相続人不存在が確定した後3ヵ月以内に特別縁故者が「特別縁故者に対する相続財産分与」の申し立てを家庭裁判所に対して行えば相続財産を受け取ることができます。ただし特別縁故者といっても誰でもいいわけではなく、以下のいずれかに該当する人だけが特別縁故者となります。
  1. 被相続人と同一生計にあった人(内縁の配偶者、事実上の養子・養親など)
  2. 被相続人の療養看護に努めた人
  3. 1と2に準じて被相続人と特別の縁故があった人
財産を分与してなお余りがある場合には、国庫に帰属することになります。

相続人のいない財産相続は以上のように手続き等が煩雑になります。これらに該当すると思われる方は、自己資産の相続がどのようになるのか専門家に相談しておくと安心です。
 

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