2020.9.15
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相続

【相続税の計算方法】簡単に自分でできる相続税の計算5ステップ

(画像=rogerphoto/stock.adobe.com)
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相続が発生した場合に相続税を支払う場合、概ねどの程度の相続税が課税されるのか、あらかじめ知っておきたいとお考えの方は多いのではないでしょうか。
今回は相続税の計算方法についてご説明するとともに、相続税対策(節税方法)についてもわかりやすく解説します。最後までお読みいただければ相続税の仕組みと計算方法をご理解いただけるでしょう。
【目次】
1.「どんなときに」「誰に」「どのような範囲に」相続税がかかるのか
1-1.相続税は「遺産を相続したとき」にかかる税金
1-2.相続税は「相続人」に対して課税される
1-3.相続税のかかる範囲は「控除額」を差し引いた額

2.相続税の計算方法5ステップ
2-1.相続税の計算ステップ①「遺産をすべて把握する」
2-2.相続税の計算ステップ②「法定相続人を確認する」
2-3.相続税の計算ステップ③「生前贈与加算の対象になるか確認する」
2-4.相続税の計算ステップ④「基礎控除を引く」
2-5.相続税の計算ステップ⑤「相続税の総額を計算する」
2-6.相続税の計算ステップ⑥「その他の控除額を計算する」

3.相続税を「控除以外」で節税するための方法
3-1.土地の評価額を減額させる
3-2.小規模宅地等の特例を使う
3-3.農地相続の納税猶予特例
3-4.非上場株式の納税猶予特例
3-5.控除に使える葬式費用・借金のレシート

4.まとめ

1.「どんなときに」「誰に」「どのような範囲に」相続税がかかるのか

本章では相続税が「どんなときに」「誰に」「どのような範囲に」かかるのかを簡単に述べていきます。具体的な相続財産になりうるもの、計算方法に関しては次章以降をご覧ください。

1-1.相続税は「遺産を相続したとき」にかかる税金

相続税は、財産を持っていた人が他界したとき、その財産(遺産)を相続する権利を有する人(相続人)が実際に遺産を受け取った場合にかかる税金です。財産を残して他界した方を「被相続人」と呼びます。

被相続人の財産から、
  • 非課税のもの
  • 債務
  • 葬式費用等
これらを差し引いたものが「相続財産」とされ、相続税の対象になります。

1-2.相続税は「相続人」に対して課税される

相続税は遺産を受け取った相続人全員に対して課税されます。遺言書による相続人指定がない場合、民法で定められた相続人(これを「法定相続人」と呼びます)が相続することになります。
【参照:民法 相続人
【参考:遺言書がある場合】
遺言書がある場合は法定相続人順位よりも遺言書が上位になり、遺言書に従って相続が行われます。遺言書の内容は被相続人により自由に差配が出来ますが、遺言書で指定できること(遺言事項)は以下のような分野に限ります。
  1. 財産処分に関すること
  2. 身分に関すること
  3. 遺言執行に関すること
上記3点以外の内容については、法的な強制力はありません。

ただし、例え遺言書があっても除外できない一定以上の相続分として「遺留分」があります。民法では法定相続人と定めた人物に遺産相続をさせ、なるべく被相続人に近かった人物が遺産を引き継げるように配慮をしますが、同時に被相続人自身の自由意思も尊重しなくてはなりません。

遺言や贈与によって相続財産の完全なる自由処分を認めてしまうと、遺族である相続人の期待が大きく裏切られることになるため、一定範囲の相続に対しては遺留分という形で相続財産を認めています。
【参照:民法902条1項

1-3.相続税のかかる範囲は「控除額」を差し引いた額

相続税には、相続税がかからない一定の金額「基礎控除」があります。2019年現在の基礎控除額は
  • 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
となっています。
なお、遺産総額が基礎控除額以下の場合、相続税はかかりません。
 

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2.相続税の計算方法5ステップ

この章では相続税がいくらになるのか、おおまかな計算方法について5ステップで見ていきます。

2-1.相続税の計算ステップ①「遺産をすべて把握する」

被相続人の積極財産(通常の財産。プラスの財産)と消極財産(借金、未払金などマイナスの財産)をすべて把握します。

(1)積極財産(プラス財産)を集計する
プラス財産の総額を集計します。
  • 現金            :亡くなった日の現金所持額
  • 銀行預金        :亡くなった日の銀行預金残高
  • 有価証券(株式等)    :亡くなった日の売買価額
  • 生命保険金        :受け取った保険金の金額
  • 土地            :亡くなった年の路線価×面積
  • 建物            :亡くなった年の固定資産税評価額
  • その他財産        :家庭用財産、絵画や骨董品など
(2)消極財産(マイナス財産)を集計する
負債などのマイナス財産の総額を集計します。
  • 借入金        :亡くなった日の借入金の残高
  • 未払費        :亡くなった日にまだ払っていない費用
  • 葬式費用        :亡くなった方の葬儀費用
(3)積極財産と消極財産の差額を集計する
(1)のプラス財産から(2)のマイナス財産を引いたものが課税遺産総額になります。
例えば、以下のようになります。
 
積極財産(プラス財産) 価格
現金・銀行預金・株式 5,000万円
土地 5,000万円
家屋など 5,000万円
Ⓐ遺産総額 1億5000万円
消極財産(マイナス財産) 価格
借入金・未払金合計 4,500万円
葬儀費用 500万円
Ⓑマイナス総額 5,000万円
課税遺産総額   Ⓐ1億円−Ⓑ5,000万円=1億円

2-2.相続税の計算ステップ②「法定相続人を確認する」

相続税では、予め決まっている法定相続分に応じて財産の取得金額を計算します。そのため、先に法定相続人を確認する必要があります。法定相続人は以下の通りです。なお、上位の相続人がいる場合は下位の相続人には民法上、遺産は相続されません(遺言書があるなどのケースを除く)。

(1)配偶者 
被相続人の配偶者は常に相続人になります。
(2)第1順位の相続人
被相続人に子がある場合、子と配偶者が相続人になります。子が被相続人より先に亡くなっている場合等は、直系卑属(孫・ひ孫等)が相続人となります。これを代襲相続と言います。
(3)第2順位の相続人
被相続人に子およびその直系卑属がない場合等は、直系尊属(父母・祖父母等)と配偶者が相続人になります。
(4)第3順位の相続人
被相続人に子およびその直系卑属がなく直系尊属も死亡している場合、兄弟姉妹と配偶者が相続人となります。ただし、兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合等は、その者の子(甥・姪)が相続人となります(=代襲相続)。

2-3.相続税の計算ステップ③「生前贈与加算の対象になるか確認する」

被相続人が亡くなる前に法定相続人や遺言書で指名した相続人に「生前贈与」を行っていた場合、「生前贈与加算」の対象になる場合があります。この加算が適用される場合、ここまで計算してきた相続額に加えることになるため、相続税のかかる額が大きくなります。生前贈与加算の対象となるのは被相続人の亡くなる3年以内となります。

同様に、生前贈与の制度として「相続時精算課税制度」があります。この制度を利用して贈与をした場合、贈与額合計が2,500万円までは非課税となります。
しかし被相続人の相続発生時には、相続時精算課税制度で生前に贈与した分も相続財産として加算する必要があり注意が必要です。

2-4.相続税の計算ステップ④「基礎控除を引く」

基礎控除とは、相続財産から差し引く(控除される)一定の金額のことです。この基礎控除額を超えた場合のみ、相続税の支払い義務があります。計算式は以下の通りとなります。
  • 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
(例)法定相続人:配偶者とその子供2人、課税遺産総額1億円の場合
合計法定相続人=3人
基礎控除額の計算式 3,000万円+600万円×3=4,800万円
1億円-基礎控除額4800万円=5200万円(課税対象額)

2-5.相続税の計算ステップ⑤「相続税の総額を計算する」

ここまでに算出した課税対象額を元に、相続税の総額を法定相続分に沿って算出していきます。分配方法は民法により決められています。
 
<相続分配割合・計算早見表>
相続人の組み合わせ例 相続の分配割合
配偶者のみ 相続財産のすべて
子供1人のみ 相続財産のすべて
配偶者と子供1人 配偶者1/2 子供1/2
配偶者と子供2人 配偶者1/2 子供1/4ずつ
配偶者と直系尊属(父母・祖父母) 配偶者2/3 父母・祖父母で1/3を人数割
直系尊属のみ(父母・祖父母) 父母・祖父母で相続財産のすべてを人数割
配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4 兄弟姉妹で1/3を人数割
【参照:民法第900条

(例)各相続人の相続額
法定相続人    :配偶者とその子供2人の場合
合計法定相続人:3人(配偶者:1/2 子供A:1/4 子供B:1/4)
遺産の総額    :1億円
基礎控除額    :3,000万円+600万円×3    =4,800万円
相続税額    :1億円−基礎控除4,800万円    =5,200万円 

配偶者    :5,200×1/2=2,600万円
子供A    :5,200×1/4=1,300万円
子供B    :5,200×1/4=1,300万円

各相続人の遺産相続の金額が分かったところで、相続税率の速算表を用い、各相続人にかかる相続税を計算していきます。
 
法定相続分による取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円
【参照:国税庁 No.4155 相続税の税率

(例)各相続人の相続税額
  • 配偶者    :2,600万円×税率15%=390万円
  • 子供A    :1,300万円×税率15%=195万円
  • 子供B    :1,300万円×税率15%=195万円

2-6.相続税の計算ステップ⑥「その他の控除額を計算する」

各相続人の税額から控除額を差し引いて残った額が、各人の納付税額になります。
ただし、財産を取得した人が被相続人の配偶者・父母・子供以外の者(兄弟姉妹や甥姪、法定相続人に含まれない養子など)である場合、税額控除額を差し引く前の相続税額にその20%相当額を加算した後、税額控除額を差し引きます。

(1)贈与税額控除
相続開始前3年以内に贈与された財産は相続税の対象ですが、贈与時に支払った贈与税は相続税から差し引きます。

(2)相続時精算課税制度における贈与税額の控除
相続時選択課税制度を選択していた場合は、相続時にそれまで受けた贈与財産を相続財産に合算しますが、既に支払済みの相続時精算課税にかかる贈与税は相続税額から控除します。

(3)配偶者控除
法定相続分または1億6,000万円分を控除できます。

(4)未成年者控除
法定相続人に未成年がいる場合は、満20歳までの年数1年毎に10万円を控除できます。

(5)障がい者控除
法定相続人に生涯を持った人がいる場合、満85歳までの年数1年毎に10万円(特別障がい者:1年に20万円/毎)を控除ができます。

(6)相次相続控除
1相続が10年以内に連続して起きた場合、2回目以降の相続では、前回の相続税額から今回の相続までの経過1年につき、マイナス10%の金額を控除できます。

(7)外国税額控除
国外で相続税を納めた場合、その分を日本の相続税から控除できます。
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3.相続税を「控除以外」で節税するための方法

「計算してみたら思っていた以上に相続税額が大きくて困惑している」という場合、節税する方法を考えてみましょう。

相続税の節税は基本は被相続人が亡くなる前に準備をしておくべきものであり、被相続人の死亡が確定した後に出来ることは限られます。この章では控除以外で少しでも相続税を節税できる方法をまとめました。

3-1.土地の評価額を減額させる

相続の際、相続対象の土地は路線価で評価します。路線価は土地が接している道路につけられた部分の路線価格をもとに計算しますが、土地の形状などが評価額に反映します。例えば
  • 奥行長大:道路からの奥行が長い
  • 間口狭小:道路に面している幅が狭い
  • 不整形地:形がいびつな土地
  • 無道路地:公道に接していない土地
  • がけ地 :土地の一部が斜面や崖になっている
これらのように、接地面や形状に土地評価が下がる要因があれば、それを適用して土地の評価額そのものを下げて節税することができます。

3-2.小規模宅地等の特例を使う

小規模宅地等の特例とは、自宅の土地や事業に使っていた土地を相続したとき、評価額を減額できる制度です。限度面積と減額率は次のとおりです。詳細は国税庁 小規模宅地等の特例で確認してください。
  • 自宅の土地                :330㎡まで…80%減額
  • 店舗や事務所など事業用の土地    :400㎡まで…80%減額
  • 賃貸アパートなど貸している土地    :200㎡まで…50%減額

3-3.農地相続の納税猶予特例

農地を相続して農業を引き継ぐ場合には、相続税の納税猶予特例が適用されます。将来、農地を相続した人が死亡したときや後継者に一括贈与したときは、猶予されていた税額が免除されます。しかし、相続人が農業をやめる・農地を売却したときは、猶予されていた相続税に加えて利子税も納めなければなりません。

3-4.非上場株式の納税猶予特例

亡くなった人がオーナー会社社長で、非上場会社の株式を相続した場合、相続税の納税猶予特例が適用されます。事業を引き継いだ相続人に対し、株式価額の80%にあたる部分の相続税の納税が猶予されます。将来、事業を引き継いだ人が死亡したときも、猶予されていた税額は免除されます。

しかし、廃業や株式の売却などの要件に当てはまる場合は、猶予されていた相続税に加えて利子税も納める必要があります。

3-5.控除に使える葬式費用・借金のレシート

葬式費用や債務の控除は、被相続人が亡くなった後からでも誰もが出来る節税方法です。相続税を計算するときには遺産総額から葬式費用や債務を差引くため、領収書や借用書などを集めると節税になることがあります。費用がかかった証明・未払いであるものを肩代わりした証明が必要ですので領収書か、メモ書きを残しておきましょう。

【被相続人の葬儀終了までに発生する費用のリスト】
  • 医師の死亡診断書
  • 通夜、告別式にかかった費用
  • 葬儀場までの交通費
  • 葬儀に関する飲食代(通夜、告別式)
  • 遺体の搬送費用
  • 火葬料、埋葬料
  • お手伝いさんへの心付け
  • 葬儀手伝いの人たちへのお菓子やドリンク
  • 運転手さんへのお車代
  • お布施、読経料、戒名料
  • 納骨費用
  • その他通常葬式に伴う費用
  • 未払いの病院代
ただし、葬式費用として遺産から差し引くことができるものは通夜と本葬までの費用で、初七日以降の法要は含まれません。

4.まとめ

相続税の計算方法、それにともなう相続に関する知識、相続が発生する前にできる節税方法について述べました。相続でご自身がどの程度の金額を支払うことになるのか、おおまかに把握できたのではないでしょうか。相続税は相続が発生してからより、発生前にきちんと準備をしておくことでトラブルなどを防ぐことにもなります。さらに詳細に知りたい方、複雑な相続事情などがある場合は専門家に相談しましょう。
 

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