2020.2.5
/
相続のプロに聞く

【実例】売れない土地を収益物件へ再生したコンサルティング/エスクリエイト

今回ご紹介する相続事例の問題点とは? 

企業役員のF さん(50 代・男性)。F さんは、母親が亡くなってから空き家となっている実家の処分を考えていました。

実家は大阪府・岸和田市にある170坪の土地と木造家屋です。当初、実家にはFさんの両親、Fさんの祖母(父の母)が同居していました。父が先に亡くなり、その後に祖母が亡くなりました。

名義変更が必要となったため、Fさんのお母様に名義を変更しようとしましたが、叔母様(父の姉)からの反対にあってしまい、相続登記未了の状態で数十年が経っていました。

Fさんは、「誰も住まない空き家を自分の代できちんと整理したい」という意向をお持ちでした。
ただし、そこには複数の問題がありました。
まずは、権利者が多数いるということ。相続の権利があるのは、Fさんとその妹、叔母様、従兄弟(3人)の計6 名です。全員の同意が得られないと話は進められません。

もうひとつは、不動産としての資産価値の問題です。前面の道路の幅員が2mと狭く、敷地は広いものの建物が道路側に建っているため駐車スペースも設けられません。どうしても価値は下がってしまいます。

相談した先で待っていたのは、意外な提案

Fさんは、岸和田の「不動産相続の相談窓口」で相談人を務める笹倉太司さんにコンサルティングを依頼しました。

6人の心情的なわだかまりが残って全員の同意が得られない場合、話が進まないと考えた笹倉さんは、相続人6名と司法書士、土地家屋調査士を一堂に会した面談を提案しました。

まずFさんから、空き家問題を解決したいという旨を書いた手紙を親族へ提出していただき、親族が集まりました。面談は相続人間の感情や思惑の聞き取りからスタート。相続人の中に当該物件に住みたい方、引き取りたい方がいないかなどを確認しました。相続人全員が住む意志はなく、空き家を自分たちの代で整理したいという意見で一致。

そのうえで、空き家をこのまま放置するリスク・物件に潜む懸念を説明しました。

空き家をこの後どうしようかという時、「(1)賃貸に出す」「(2)売却する」「(3)除却する」「(4)管理する」の4通りがオーソドックスな考え方ですが、協議の結果、「(3)除却」と「(4)管理」はお金、手間だけがかかるということで選択肢から外れました。

また、「(1)賃貸」について、リフォームの見積と賃料の査定をするも、車が入らず車庫もないことから条件はかなり厳しくなってしまいました。
⇒リフォーム費用500万円以上
⇒借主が見つかっても家賃は8万円程度

ということで、同様の理由でかなり手を入れる必要があり、査定評価はかなり低くなってしまうものの、その後の手続きも簡略化できることから、Fさんが代表して相続し、「(2)売却」したのちに現金を分ける(換価分割)という案に相続人全員が合意しました。司法書士より代表相続・遺産分割協議の手続きを説明してもらい署名・捺印までその場で行いました。

しかしその後、売却もなかなか容易には進みませんでした。査定額は路線価や固定資産税評価額をもとに算出した2,500万円の半値以下。笹倉さんはそれで地元の買い取り業者複数に案件を持ち込んだものの、いずれも「ゼロ回答」でした。

このままではずっと売れないということで、考えた笹倉さんが行ったのは、開発行為による物件のバリューアップでした。

【具体的な実施内容】
(1)    前面道路の対側にある休耕地の所有者に交渉をし、土地を買い取り。
(2)    双方セットバックして前面道路の幅員拡張に成功。
(3)    拡張した道路の角地所有者に交渉し、隅切り(地役権を設定)を実施。対象地まで車両が進入できるように整備。
(4)    休耕地部分と合わせて計5戸の戸建賃貸建築を企画。

これにより、売れなかった土地に価値が生まれ、投資家が購入することが決まりました。

>>相続の専門家に相談する

みんなが幸せになれる解決策とは

今回の相続では、相続人全員が資産の整理に賛成だったにも関わらず、資産価値がないことから土地と家屋の売却が難しいという点が問題になりました。しかし、売れない土地や空き家の再生に詳しい笹倉さんの知見をもとに収益化の道を模索。前面道路の拡幅と隅切り、地役権設定で車両が入れる物件に生まれ変わらせバリューアップを実現させました。資産価値を上げて収益物件へと生まれ変わらせたことで、無事に売却を叶えることができました。

【問題解決までの流れ】
・相続人6人の意思統一。
・2m幅員道路の対側地(休耕地)の所有者に休耕地の買取交渉。
・双方セットバックで前面道路幅員拡張に成功。
・拡幅した道路の角地所有者に交渉して隅切りを実施、さらに隅切り部分への地役権を設定。対象地まで車両が進入出来るよう整えた。
・対側の休耕地とあわせて4+1区画の戸建賃貸用地としてバリューアップして売却。
・無事に投資家に売却完了。

不動産相続に懸ける笹倉さんの想いとは

笹倉さんは、F さんの相続相談のことを次のように振り返ります。

「当初、どこの不動産会社も買取価格はゼロ円でした。しかし、最終的には土地だけで1,000万円以上の価格で売却することができたので、Fさんにもご親族にもとても喜んでいただけました。

そして、この結果にご満足してもらえたのか、Fさんからはさらに『父から相続した自分と妹の共有名義の土地も売却したい』と2件目のコンサルティング依頼につながりました」

こうした実績を残せた理由をこう分析します。

「これまで不動産取引や分譲地開発の経験、建築の技術と相続コンサルタントとして勉強してきた知識があったから解決に導くことができたのだと思います。その根幹にあるのは『街を疲弊させたくない』という想い。

だからこそ、現況での再利用が難しい土地から収益を生む物件へと変貌させることができたのだと思いますし、新たな暮らしを生む土地へと生まれ変わらせることができました」

そして、不動産相続のコンサルティングという仕事に携わる面白さについて、次のように語ります。

「私は、建築会社もグループ会社に持っています。新築住宅は未来がスタートする喜びに立ち会えるという意味でやりがいのある仕事かなと思いますが、不動産相続は180度異なる仕事です。ほとんどのケースは負担だったり、しんどい思いを抱えたりしているところからの解放を手助けする役割を担います。苦しみから救うというと言い過ぎかもしれませんが、不動産の困りごとを解決して差し上げることで、依頼主の皆さんが新たな人生の一歩を踏み出せるサポートをできたらと思っています」

今後は、「地元の資産価値を守る活動に取り組みたい。空き家や相続の困りごとの解決をできる不動産コンサルタントとして活動していきたい」と展望します。

相続人の意志は固まっても、実際に物件を売ることができるかどうかは別問題。しかし、資産価値が低い土地であっても、プロの手腕によって予想以上の値が付くこともあります。条件が悪いからと言って諦めずに、頼れるプロに相談することで思いもよらない道が拓けることもあるのです。

【今回相談に乗っていただいた担当者】
<笹倉 太司さんプロフィール>
株式会社エスクリエイト代表取締役。
〈講演実績等〉
兵庫県尼崎商工会議所
大阪府下宅建協会各支部
大阪府下各行政 和泉市、岸和田市、泉佐野市、岬町、八尾市等
FMラジオきしわだ「おうちのはなし」パーソナリティ、FM OH!等多数
ぱど「あすたいむ倶楽部」講師
大阪宅建協会本部研修インストラクター
大阪宅建協会泉州支部まちづくりの為の自治体対応プロジェクトチーム座長
厚生労働大臣認可 住宅建築コーディネーター講師など

〈資格/不動産関連〉
公認 不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士・不動産エバリュエ―ション専門士、宅地建物取引士、相続診断士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、空き家活用士 など


>>相続の専門家に相談する

【オススメ記事】
民法改正で遺言執行者の権限が明確化される
民法改正で不当な財産処分ができなくなる
相続の面倒は銀行にお任せ!遺言信託とは
民法改正で相続の効力等に関する見直しが行われる
準確定申告が必要な人・不要な人

この記事をシェア

相続MEMOをフォロー

相続のプロに聞く

NEXT 【実例】認知症の姉の資産を管理したい/ホームスター(北海道旭川市)
PREV 【実例】相続人の遺言書が無効ならどうする?/とちぎ未来開発