2019.6.18
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不動産

「共有私道の保存・管理等に関する事例研究会最終とりまとめ」から考える

(写真=Nomad_Soul/Shutterstock.com)
(写真=Nomad_Soul/Shutterstock.com)

所有者特定困難な土地に関する問題がここでも

人口減少と所有者不明化からくる諸問題ですが、
今回のコラムではこんなところでも所有者不明問題が影を落としかねない、という話題を取り上げてみます。

今回取り上げるのは、2018年1月に法務省から発表された「共有私道の保存・管理等に関する事例研究会最終とりまとめ」です。
そもそもこの研究会が立ち上がった背景として、報告書では「いわゆる共有私道につき、補修工事等を行う場合に、
民放の共有物の保存・管理等の解釈が必ずしも明確でなく、事実上、所有者全員の同意を得る運用」となっていることに対し、
「私道所有者の一部の所在を把握することが困難な事案において、必要な補修工事等の実施に支障が生じているとの指摘」を受け、
「地域の実情に応じた適切な利用や管理が図られるべく、具体な支障事例を把握し民法等において同意を得ることが求められる範囲を明確化する」ための検討をする会議として設置されたとあります。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00203.html

つまり、不明確であった「同意の範囲」というのが、日常生活にとって必要な現状維持のための行為はともかく、
利便性を高めるための改良実施すらままならなくなる可能性があり、それに加えて共有する所有者の不明が顕在化すれば、その状況は一層深刻になるということが、
この先に問題化するという認識がされていると言うことです。
 

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発表された「複数の者が所有する私道の工事において必要な所有者の
同意に関する研究報告書~所有者不明私道への対応ガイドライン~」

詳細はご自身でお読みいただくとして、ガイドラインでは所有者不明私道が発生した場合にどのように対処するかについて「共有私道の諸形態と民事法制」として現状ごとの基本的な方向性が、
さらに検討例として「ケーススタディ(全35事例)」が示されています。

共有私道の諸形態についてでは、民法第249条以下の共有規定が適用される私道敷地全体を複数の者が所有する「共同所有型私道」、
私道敷地が"複数の筆"からなっていて隣接宅地の所有者が相互に利用させ合っている「相互持合型私道」に分けられ、
さらに、客観的に見て一団地を構成する「共同所有型」の場合は区分所有法の適用により一定の多数決による変更が可能であること、
あるいは不在者財産管理制度を用いることで家庭裁判所により選任された財産管理人からの同意取り付けの可能性など、大枠の分類の元で解決の方向性が示されています。

ついでケーススタディでは舗装の修復や公共下水管の新設など、私道における具体な補修や改良、更新などのケースが35事例示されています。

共有がもたらす諸問題を、「近未来の日常の問題」と捉えられるか?

ガイドラインで示されたケーススタディ(私道に関する工事の支障事例)を大別すると、 私道の舗装に関する事例、ライフラインに関する事例など私たちの日常生活にかかわる事例がほとんどです。
これは何を意味するかといえば、近い将来身近なところで空き家が発生し、その空き家の所有者が不明になってゆき、
ケーススタディで示されたような支障が自分の身の回りの「自分ごと」として発生する可能性があるということです。

このガイドラインでは「共有の私道(土地)」について取り上げられていましたが、少子化と高齢化、
都心居住の進行による居住地の偏在など複合的な要因による人口減少や不在所有者がもたらす支障は土地に関わる問題に限ったことではありません。
少し目線を転じて「共有」している不動産を考えると、区分所有の分譲マンションなども共有の不動産です。 そのように考えれば、共有している財産に関わる関係者の高齢化による行為能力の低下やそもそも不明の問題は、
私道負担を持つ土地に限らないと言えます。そのような観点から共有がもたらす諸問題を、「近未来の日常の問題」と捉えられるか?という問いを今のうちから自分に問いかけておく事は大事な事だと思います。
 

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