2019.8.8
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不動産

なぜ不動産競売に相続絡みの案件が多いのか

(写真=Burdun Iliya/Shutterstock.com)
(写真=Burdun Iliya/Shutterstock.com)
かつて反社会的勢力が巣食っていたこともあった不動産競売は、民事執行法の度重なる改正により、オープンな市場に変わりました。情報公開も進んでおり、全国の裁判所で行われている競売の情報をインターネットで手に入れることができます。その中には普通の不動産業者では扱っていないような物件も珍しくありません。その一因として、次のような相続絡みの案件がたびたび発生することが挙げられます。

不動産競売とは

「住宅ローン」や「不動産投資ローン」を組むとき、多くの場合、購入する物件を担保に入れます。

担保とは、お金を返せなくなったときに売却して返済に充てるためのものです。ここまでは何となくイメージできるのではないでしょうか。

不動産競売とは、この「売却する(売り払う)」という行為を法的に有効な形にする制度です。具体的には金融機関などの債権者が裁判所に申し立て、裁判所が、差し押さえた不動産を買う人を募集し売却する手続きを行います。買い手として名乗りをあげる人は一定の期間に買いたい金額を提示(入札)し、最高額を入札した人が手に入れることになります。

不動産の購入代金は裁判所に支払われ、最終的に金融機関のもとに届きます。ほとんどの場合、返済に必要な金額には足りません。残ったローンは基本的にコツコツ返していくことになります。

相続でもめて競売になるパターン

上記のような担保にもとづく申し立てが最も一般的ですが、競売には他のパターンもあります。

その一つは相続です。相続人たちが分割方法でもめてしまい、裁判で争ったときを想定してください。このような場面では売却してお金に変え、配分することを裁判所が決定することがあります。

売却は必ずしも競売による必要はないのですが、そのためには全員の合意が必要です。もし一人でも反対すれば売ることはできません。そこを裁判所の力で実行に移すのが競売というわけです。

入札を検討する人に向けて公表される物件明細書、現況調査報告書及び評価書の3点セットには、「相続でもめた案件です」とはもちろん書かれていません。買う人にとってはあまり関係ないからです。担保にもとづく競売を担保不動産競売というのに対し、このように裁判上の争いを解決するための競売を形式的競売といいます。

相続人の借金がもとで競売にかけられるパターン

担保不動産競売と形式的競売の他に、強制競売という方式があります。これは公正証書で契約した借金の返済や、裁判で確定した支払いを実行するために、裁判所が差し押さえた財産を売却する方法です。

強制競売の中には、相続によって取得した不動産が対象となることがあります。例えば無職で借金だらけのAさんが、亡くなった親の畑を相続したとします。お金を貸している人がそのことを知り、裁判所に申し立ててこの畑を差し押さえて競売にかけ、返済に充てるというわけです。

いろいろな3点セットを見ていると、共有の建物やどう利用してよいか分からないような狭い土地など、不動産会社ではお目にかかれないような物件を目にすることがあります。これらのうちいくつかは相続が絡んだ案件である可能性が多分にあります。

相続対策をしっかりしよう

競売はデメリットの多い売却方法です。売却価格は通常よりも低くなるのが一般的で、売れ残ることもあります。買い手を選ぶことはできず、売却決定までには長い時間がかかります。

しっかり相続対策をしていれば、不動産会社を通じて有利な価格とスピードで売却できる可能性があります。例えば相続人同士がもめないよう、被相続人が生前に遺産の分け方について話し合うことや、財産を整理し遺言書を作成しておくなどすることで、競売を避けることができるでしょう。元気なうちに準備をしておけば、より安心してシニアライフを送れる可能性は高くなります。

不動産の相続はトラブルになりやすいものです。住宅や土地、マンションなどを所有し、子供など相続人になり得る家族が複数人いる人は、何らかの相続対策をしておくに越したことはないでしょう。
 

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