2019.9.13
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不動産

住宅取得等資金贈与と住宅ローン控除の併用における注意点

(画像=Zanariah Salam/Shutterstock.com)
(画像=Zanariah Salam/Shutterstock.com)
新たに住宅を購入する場合、多額の資金が必要です。多くの場合、「親などから資金援助を受けて住宅を購入する」「銀行などでローンを組む」のどちらかを検討します。しかし、両方を選択することはできるのでしょうか。今回は、住宅取得等資金贈与と住宅ローン控除の併用や注意点について解説します。

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度と住宅ローン控除は併用可能

親などから住宅購入の資金の贈与を受けると、本来であれば110万円超えた金額には贈与税が課税されます。しかし、2019年4月1日~2020年3月31日に契約した新築住宅に関しては、最大3,000万円まで贈与税が非課税となるのです。これを住宅取得等資金の贈与税の非課税制度といいます。現役世代の昇給がなかなか実現しない中、この制度を活用して親からの資金援助を受け、住宅を購入する世帯が増えています。

ただ、この制度を活用して親から購入資金を得られたとしても、住宅購入に十分だとは限りません。そこで、有効なのが「住宅ローン控除制度(所得税の住宅借入金等特別控除)の併用」です。贈与税の非課税制度は、住宅ローン控除制度と同時に利用することができます。贈与税の非課税制度を活用して購入資金援助にかかる贈与税を0円とするだけでなく、住宅ローン控除制度を使って所得税の負担も減らすことが可能です。こうすることで、住宅購入にかかる金銭的な負担を大きく軽減できます。

住宅取得等資金の贈与を受けた際の住宅ローン控除の注意点

ただし、両方の制度を活用する場合、住宅ローン控除を行ううえで注意すべき点があります。

住宅購入額から贈与額を差し引く

「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」を使って援助を受けた場合、住宅ローン控除はその受贈額に配慮しなくてはなりません。つまり、贈与税で得した分、所得税では税負担しなくてはならないのです。具体的には、所得税で住宅ローンに関し税額控除の適用対象となるのは、次のいずれか低いほうの金額になります。
  • 住宅ローンの年末残高
  • 「住宅等購入の際の対価額-住宅取得等資金贈与の非課税制度の適用を受けた援助額」
「援助してもらった金額を住宅や土地の購入にあて、そのあと、住宅ローンで借りた金額を購入に使用した」と考えます。以下、具体例で考えてみましょう。

【例】
住宅の購入額:5,000万円
土地の購入価額:2,000万円
住宅取得等資金の贈与税非課税制度の適用を受けた受贈金額:3,000万円
住宅ローンの年末残高:4,500万円

もし非課税制度の適用を受けた資金援助がなければ、住宅ローンの年末残高4,500万円が所得税の住宅ローン控除の適用対象額です。しかし、この例では3,000万円の資金援助について贈与税の非課税制度の適用を受けています。これを考慮したうえで、住宅ローン控除の適用対象となる金額は以下のように計算します。

1.    住宅ローンの年末残高:4,500万円
2.    「住宅等購入の際の対価額-住宅取得等資金の贈与非課税制度の適用を受けた援助額」:(5,000万円+2,000万円)-3,000万円=4,000万円
3.    1>2となり、少ない金額の4,000万円が住宅ローン控除の対象額

併用のケースでは申告誤り続発、自主修正ならペナルティ軽減

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度と、所得税の住宅ローン控除を同時に活用したケースでは、所得税の確定申告の際、住宅ローン控除の計算において非課税の適用を受けた資金援助を考慮することが必要です。しかし、実際には制度に関する正確な理解が進んでいないためか、「住宅等の購入対価額-住宅取得等資金の贈与税非課税制度の適用を受けた金額」という計算が失念されるケースが相次いでいます。

この結果、本来あるべき金額よりも多すぎる税額控除をしてしまい、税務当局から申告誤りを指摘されているのです。国税庁はこの状況を重く見て、ウェブサイトで注意を呼び掛けています。

●参考:国税庁「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除等の適用誤りに関するお知らせ

少ない税額の確定申告をやり直して多く納税する申告を「修正申告」といいます。修正申告を行うと、通常、本来の納税額に加えて延滞税や過少申告加算税を納付しなくてはなりません。ただし、自ら間違いに気づき、自主的に修正申告を行うと過少申告加算税はかかりません。
住宅ローン控除は1年だけでなく、その後長年にわたって適用を受けます。そのため、1年目の間違いはその後の所得税にも影響します。最初に間違えたのが数年後に発覚したら、全部計算をやり直ししなくてはなりません。確定申告の際は、要件や計算方法を慎重に確認したほうがよいでしょう。

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