2019.11.13
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不動産

農地と生産緑地と2022年問題【その2】

(写真=Bannafarsai_Stock/Shutterstock.com)
(写真=Bannafarsai_Stock/Shutterstock.com)
1991年に改正された生産緑地法は1992年に施行されましたが、2022年以降は生産緑地地区に指定されてから30年経過した農地が続出することになります。

その農地は保有者から各自治体へ買取の申し出ができるのですが、一斉に申し出があった場合、各自治体は財政的な理由で買取ができないことも現実問題として考えられます。その場合、自治体は他の農業従事者に取得をあっせんすることを求められますが、取得希望者が現れない場合には、生産緑地としての義務や行為制限が解除されることになります。

不動産の2022年問題の解消に向けた動き

また、500平米以上の大きな土地を個人が購入するケースは少ないので、不動産業者や開発業者が買い取ることになります。そうなると多くの宅地が市場に出回ることになり、その結果不動産が供給過多になって価格が大幅に下落するのではないか、というのが不動産の「2022年問題」です。

各自治体としても、増加している空き家に加えて大規模な土地が市場に出回るということは、不動産価格が下落する問題だけでなく、地域の緑が減ってしまうという環境・景観の問題、大規模災害時の避難場所として利用できなくなるという住民の安全の問題があるため、2022年問題を回避したいはずです。

このような問題を回避するために、2017年2月に生産緑地法の一部改正を盛り込んだ「都市緑地法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、2017年6月と2018年4月に施行されました。各自治体はこの法改正を受けて条例を定め、改正内容に準拠して生産緑地の管理・保全を行っていくことになりました。

2017年に一部改正された「生産緑地法」の内容は

1.面積要件の引き下げ
生産緑地地区に指定されるために必要な「500平米以上」の要件が「300平米以上」に引き下げられ、従来は対象外だった農地についても指定ができるようになりました。

また、生産緑地地区の一部(例えば他の所有者の農地)が買取の申し出をする、あるいは所有する農地の公共施設(道路など)への提供によって土地面積が500平米を下回ってしまうケースもあるでしょう。

この場合、所有者は農業を続けたくても生産緑地地区指定が解除されてしまいます。このような事態をできるだけ避けるという目的もあり、面積要件が引き下げられました。

2.建築制限の緩和
これまでは農業を営むために必要な施設、ビニールハウスや農機具の収納倉庫、休憩所などの設置のみが可能でしたが、農産物を製造・加工する施設や販売施設、農作物を主な材料としたレストランなど、収益性を高める施設の設置もできるようになりました。

ただしこのような施設を設置した場合、該当の土地については固定資産税や相続税の優遇措置が受けられなくなりますので、どのくらいの収益が見込めるか、税負担がどれくらい増えるのかを考慮したうえで設置を検討すべきでしょう。

3.特定生産緑地制度の創設
特定生産緑地制度は、生産緑地の「買取の申し出」に関連する制度です。買取の申し出ができる要件の一つに「生産緑地地区の指定日から30年経過したとき」がありますが、生産緑地の所有者の意向をもとに自治体が「特定生産緑地」に指定をすれば、この年数を10年ごとに延長することができるようになります。

指定された生産緑地については引き続き税の優遇を受けることができるため、買取の申し出件数の減少が見込めるほか、農地を保護し景観・防犯上のメリットも引き続き享受できます。今まで生産緑地に指定されていなかった土地についても指定することができるようになったため、これまでよりも生産緑地が増える効果も期待できます。

法改正による農地の位置付けの変化

このように、2017年の改正では1991年の改正で示された「農地は宅地化すべきもの」から、「都市にあるべきもの」という方針に変更されました。農地を保全することで地域の自然を守り、所有者の収益確保も見込めます。

また、時代の変化に伴って制度そのものの位置づけや内容も180度方向転換されました。2022年問題は、農地を保有している、あるいは農地を相続する予定がある人は知っておくべき内容と言えるでしょう。
 

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